「能活」が新聞記事に

お知らせ

しばらく投稿がなくて失礼いたしました。少し前ではありますが、林本大のことが毎日新聞に取り上げられていましたので、お知らせさせていただきます。

舞や楽器、気軽に「能活」 若手能楽師が解説 中央区で月1、2回/大阪

オフィス街の一角にたたずむ老舗料亭のような木造建物。引き戸を開けて中へ入ると、静寂が身を包んだ。約90年の歴史を持つ大阪市中央区の山本能楽堂。「気軽に能の世界に触れてほしい」との思いから昨年11月に始めた能講座が好評だ。

「能活」と銘打ち、毎月1、2回、休日の朝に開講。参加費は千円。若手能楽師が能の基礎を解説し、舞や楽器演奏などの体験もできる。今月10日の4回目の能活は「せりふを謡ってみる」。さまざまな世代の男女25人が参加した。

講師の観世流能楽師林本大さん(38)が舞台中央にしずしずと歩み出ると、参加者の背筋がすっと伸びた。『これは西塔の傍らに住む武蔵坊弁慶にて候』。弁慶と牛若丸の出会いを描いた『橋弁慶』の一節を、林本さんが朗々と謡いだす。

参加者も後に続く。「おなかにしっかり息を入れて、息とともに声を出します。しゃべるのではありませんよ」 「関西弁のイントネーションになっている人がいますね。能は標準語で平らに謡うのです」。林本さんが優しく語り掛けるように指導する。参加者の謡は次第に厚みを増し、熱を帯びて響き渡った。

参加した神戸市のジャズボーカリスト廣野栄美子さん(53)は「ジャズはフレーズを大切にするけれど、能は常に息を吐きながら一文字一文字を大切に謡う。難しかったけれど新鮮で面白いた体験だった」。すがすがしい表情で会場を後にした。

林本さんが、初めて能と出会ったのは大学1年の時。「照明の演出が何もないのに、謡の調子が変わるだけで舞台が急展開して見える」。「最小の演出で最大の効果をもたらす」能の世界に魅せられ、入門。「能を通して想像する文化の良さを知ってほしい」と普及活動にも力を入れてきた。

「能は敷居が高い、難しいと思っていたけれど、楽しかった」「能を見に行きたくなった」。アンケートに記された参加者の感想に、林本さんは手応えを感じている。

(毎日新聞 2016年1月25日大阪版)