6月4日(土)たにまち能で能《葵上》
お知らせ長らく更新せず申し訳ございませんでした。
今回は、来る6月4日(土)大阪の山本能楽堂にて行われます「たにまち能」にて、能の人気曲の一つ、「葵上」を演じさせていただくことになりましたので、ご案内申し上げます。
「たにまち能」
日時:6月4日(土)13時(終了予定16時半頃)
会場:山本能楽堂(地下鉄谷町四丁目駅4番出口徒歩4分)
内容:能《桜川》森本哲郎 能《太刀奪》岡村和彦 能《葵上》林本大 ほか
一言でいうと、サイコサスペンスの物語です。
能「葵上」は源氏物語を題材に、光源氏からの愛を失った女性の悲しみ、そして葵上に対する嫉妬、怒りが描かれており、貴婦人としてのプライドが主人公の心の奥底で葛藤している様が舞台で表現され、見た目の面白さもあって、人気曲ナンバーワンの作品となっています。
前半はほとんどシテ(主役)の独白によって進行していきます。また途中からはそのシテの心境を地謡(いわゆるコーラス)が受け取って代わりに語っていくという構成をとっています。そして後半は、鬼女となって登場し、修験者と激しく争う場面があり、見た目も面白いものとなっています。
光源氏の妻、葵上は重い病で苦しんでいます。といっても、事前に舞台の前に置かれた小袖が葵上なのです。実際に舞台に葵上を演じる役者は登場しません。
名医の治療を受け、高僧の祈祷を受けても回復の兆しは見えません。これはきっと何者かの怨霊がとり憑いたのではと、その正体を見るため、梓弓を引き、霊を呼び出すプロである巫女を呼ぶことにしました。
そして巫女に呼び出されるようにして女の霊が現れました。ただし設定上、この霊は巫女にしか見えていません。
この霊は、なにか悲しげな言葉をつぶやき涙を流しています。
そして葵の上の前に忍びより、恨み言葉を投げかけ、あげくの果てには暴力を加え胸元をつかんで連れ去ろうとまでしました。その霊は一瞬姿を消します。しかしその部屋のどこかには残っています。
さっそく横川の小聖(こひじり)といって、霊を退治する修験者が呼び出され、祈祷が始まります。
先ほどの怨霊は、今度は悪鬼の姿となって再び現れ、小聖と鬼女の格闘する場面展開となります。
ついには悪鬼は法力により成仏し、二度と現れないと約束して姿を消すのです。
後妻打ち(うわなりうち)と言って、夫に離縁された前妻が、他の親しい女たちと協力し、後妻を襲撃して乱暴を働くことが平安時代から行われていたそうです。刃物は使わず、箒や竹刀等を使用し、戦国時代には特に盛んであったといわれています。
しかしこれは下層階級の習俗でした。今回のシテ、六条御息所のような身分の高い貴婦人がとる行動ではないのです。それでも憎い葵上に恨みを晴らしたい、その気持ちが爆発をします。
「葵上ごときに嫉妬する私ではない」というプライドと、そのプライドを捨ててもあいつを打ち据えたいという思い。この二つ、いわゆる躁鬱の様なものを表現できなければと思います。
皆様是非お越しください。チケットお申込みの方はホームページのフォームよりお願いします。