唐KARAコンサートと呼子100人×能楽師4人in西念寺
レポート去る7月11日は、私にとって大変思い出深い一日になりました。
まず、佐賀県唐津にある多久島舞台にて「唐KARAコンサート」を行いました。
この催しは、唐津に縁のある能楽師二人、私林本大(私は唐津で生まれました)と、多久島法子さんが企画運営を行い、「唐津から文化を発信する」ということで、「唐津から」→「からから」と名付けたコンサートです。
能の公演一色にならず、必ず他ジャンルのゲストをお招きしてトークを交えながら舞台も進めていくという内容です。これまでは唐津でご活躍のシンガーソンガーや書道家、二胡演奏者などの皆様にご出演いただきました。
今回のゲストは唐津にお店を構えていらっしゃる、「池田呉服店」の池田聡さん。一見大人しそうな方ですが、お話ししてみると面白く魅力的な方でした。
着物にまつわるお話を沢山伺いました。着物から生まれた言葉「袂を分かつ」「要領」などの意味にお客様も驚かれたり、振り袖と留め袖の違いなど初歩的な部分から、浴衣の着付けワンポイントアドバイスに至るまで。お客様におかれましても、着物がより近い存在になったのではないかと思います。
その他私と多久島が能の衣装の説明も行い、最後に衣装を身に付けて短い能を披露。池田さんは「着物を着ると物を拾ったりするときも袖に手を添えないといけない。このように面倒なイメージを持たれるかも知れませんが、そうすることで日本人は美しい所作を学んでいった」と仰っておられました。
さてその唐KARAコンサートが終われば多久島も含め出演者は着物姿のまま大急ぎで車に乗り込み、30分かけて呼子の西念寺へ。
「呼子100人×能楽師4人in西念寺」という、呼子地元の皆様が立ち上げられたイベントがございました。お寺の本堂で能公演を行い、謡の体験や能面解説なども含めた分かりやすい能のワークショップでした。佐賀や福岡で活躍中の能楽師4人、一人一人をピックアップし、それぞれが自分の希望曲を勤め、また何か1つワークショップの解説を担当。私は総合司会をつとめました。
「100人は必ず動員しよう」と大胆にも催しのタイトルにしてしまいましたが、チケットはそれ以上売れ、完売となりました。お客様も温かく見守って下さり、またスタッフの皆様も非常に頑張っていただき、大変いい状態で舞台を勤めさせていただきました。もうすでに第2弾も計画中。お越しいただきました皆様、また是非お越しください。
2つの大切な舞台を終え、出演者仲間達と久しぶりにお酒を深夜まで酌み交わしました。今回私と共に舞台を支えてくれたのは、私が内弟子時代、一緒に苦労を味わった仲間達。それぞれ独立をして、私以外は皆九州に帰ったので会う機会も少なくなりましたが、昔話や、これからの舞台のことなど話は尽きませんでした。ほとんど寝ずに始発の新幹線で私だけ大阪に帰りましたが、非常に心地よく過ごした1日でした。
能楽師の仲間や、唐津、呼子の舞台を支えてくださったスタッフの皆様、そして舞台を見に来てくださる皆様、その期待を裏切らぬよう、これからも精一杯つとめてまいります。
本当にありがとうございました。