能《善界》をつとめました

レポート

4月4日大阪・山本能楽堂にて「たにまち能」という催しがあり、私は能《善界(ぜがい)》のシテ(主役)を勤めさせていただきました。当日は天気予報では雨でしたが幸いにも空がずっと我慢してくれたのか、傘を使わない一日でした。

《善界》は中国の話。唐の時代、高慢な者をみんな天狗道に引きずり込む天狗の首領・善界坊が、今度は日本の仏教界を脅かし魔道に誘い込もうとしますが、比叡山の高僧の法力に打ち負かされるという内容です。

前半は山伏の格好で登場し、能面は使用しません。しかし、後半には天狗の姿になり、「大べしみ」という能面を使います。「べしむ」とは口を横一文字に閉じている様をいいます。天狗は上空を高速で飛んでいますので、口を閉じ歯を食いしばって、突風に耐えながら進んでいる様を表します。

能面一つ見てもその表情には意味があったり、先人の思いがあったりします。一曲を演じる時には勿論セリフや所作にどのような意味があるのか探りますが、使用する装束や小道具にも我々は思いを寄せないといけません。

勉強することはまだまだ沢山ある、そう感じました。

お越しいただきました皆様、ありがとうございました。