能meets能、今秋開催!
お知らせ夜に決行された仇討ち。
どのような惨劇だったか知らない者でも、その跡の水を打ったような静けさの中に残るものを見れば、それがどんな阿鼻叫喚の世界だったか容易に分かる。
「能meets能」のチラシはいつも、演目の内容に沿ってイメージを膨らまし、それをデザイナーの笹田さんにお伝えして、そこからさらに笹田さんの素晴らしい技術で、能のチラシとは思えない程の重厚なデザインになります。
本年11月3日(祝)大槻能楽堂にて
「第四回 能meets能」を開催致します。
能の演目は「夜討曽我 十番斬」
曽我兄弟による仇討ちのお話です。
能の演目の中で一番登場人物の数が多いこの曲は、後半舞台の上で、曽我兄弟と相対する十四人もの敵が登場し、「斬組(きりくみ)」と言われる、いわゆるチャンバラが行われます。斬られた者は「安座」「宙返り」「仏倒れ」等といった、動きの激しい所作で斬られた事を表現します。
見た目も大変派手で、観ていて息つく暇もない程面白い演目です。そしてその裏には、曽我兄弟が大切にしてきたもの、当時の男達の守ってきたものという昔の価値観や美意識がそのセリフや所作に含まれています。
能については初心者の方でも充分お楽しみいただける内容となっています。
「第四回 能meets能」
日時 令和5年11月3日(祝)15時00分開演
会場 大槻能楽堂(大阪市中央区上町)
内容 舞囃子「小袖曽我」坂口貴信 大槻裕一 他
仕舞「遊行柳」大槻文藏 「放下僧」山階彌右衛門
能「夜討曽我 十番斬」林本大 武田宗典 他
また「夜討曽我」をより一層楽しんでいただきますように、当日11時30分より、事前講座として「能meets殺陣」を開催。
これは夜討曽我の詳しい解説と、一般の方参加による能のチャンバラをお見せする企画。
この事前講座(別料金です)「能meets殺陣」と、本公演「能meets能」を両方ご覧いただきますと、より深く能について楽しんでいただけます。
私がスタッフの方々と共に、数年掛けて構想して参りました企画。
出演陣も大阪はもちろん、京都や東京からもよりすぐりの贅沢なメンバーによる競演。
東京からは私の師匠山階彌右衛門師に全体の監督を。
そして曽我兄弟として選びましたのは修行時代からの流儀の同期で一生の友であります武田宗典氏を選ばせていただきました。
そして今回、大藤内という狂言役として、東京から山本則重氏、山本則秀氏に、無理を申しましてご依頼させていただきました。
また冒頭の舞囃子には、同世代の中で本当に素晴らしい芸力をお持ちの坂口貴信氏に。
その他こちらも共に修行しました大鼓の大倉慶乃助氏との久しぶりの共演。
大阪からは、人間国宝大槻文藏師にお越しいただきます。
団三郎・鬼王役には尊敬する先輩寺澤幸祐氏、井戸良祐氏。
京都から、私が若い時から可愛がっていただき、いつも素敵な舞台を示してくださいます味方團氏に、地謡のリーダーである地頭(じがしら)を、構想の段階で決めていました。
チャンバラの最後の敵、新開役には河村和貴氏に引き受けていただきました。彼は私や武田宗典氏と同期なのです。同期三人の競演は私自身楽しみにしております。
その他も本当に沢山の皆様に舞台に華を添えていただきます。
この一年は、私は舞台の役を減らし、この日に集中をして全精力を注ぐつもりでおります。是非皆様お越しいただきますようお願い申し上げます。