番外編「姫路城プレミアムプラン 小夜の風雅 幽玄の宴」スタッフレポート

能meetsスタッフブログ

スタッフです。

能meetsでもいつも大変お世話になっております、姫路在住で各地でもご活躍の福王流ワキ方江崎欽次朗先生がメインとなり主催者様と企画を進められていた催し

姫路城プレミアムプラン「小夜の風雅 幽玄の宴」

3月18日~20日開催

その初日にスタッフも同行させていただきました。

 

今年姫路城は世界文化遺産登録30周年を迎えます。

国宝であり世界遺産のこちらで…

普段一般公開していない「夜間の姫路城大天守内」

その大天守内でお能を観るという聞いただけでも胸躍る企画です。

 

当日天守閣の準備から拝見しておりました。

といってももうすでに誂えはできあがっており、最終チェックの段階。

「小鍛冶」の一畳台

その前に、なんと真剣が飾られているというお城ならではの演出。

眺めているだけでも美しい風景でした。

江崎先生は、この日たつの能からの移動!

(林本先生とこの日のおシテ笠田先生、笛方の斉藤先生もでした)

江崎先生は到着してすぐ、

ご準備に最終打ち合わせに…

さらにはスタッフの方々への撮影など

江崎先生らしいお人柄でスタッフを労いつつ、準備も進めていかれます。

和やかさもありつつ、緊張感も増していきます。

姫路城の担当スタッフや設営スタッフの方も

ずーっと会場のチェックを。

お客様が座る床几(ショウギ)も、お城らしく軍人座りにしたらどうだろう?いや、座り心地を優先しましょうなどなどいかにお客様をお迎えするか、を考え色々と試行錯誤されていました。

きっとここまで、もっとそういった打ち合わせが重ねられたんだろうと、壮大なこの企画の当日だけですがお邪魔して感じることができました。

刀匠の、明珍さまも飾られている刀のチェックを綿密にされている姿がとても凛々しくかっこよかったです。

たくさんの準備、そして技術を持ち寄り迎える本番…いよいよ高まってきます!

 

参加の方は、まず迎賓館に集合して、ココだけの特別の和菓子(拝見しておりませんが興味津々です)をいただいたあと、

城郭研究家の本岡勇一氏の案内でお城を巡ります。

ここからもう贅沢ですね。

姫路城ではアプリや案内ガイドなどもありそれでも楽しめますが、また特別感のあるプレミアムに相応しい今回です。

 

そして天守閣へ

夜のお城はなんだか昼間よりも更に「時間を遡った」ような感覚になります。

照明も安全を考慮しつつ、最小限のもの。

厳かな雰囲気が漂います。

まずは、

刀匠の明珍宗裕氏の解説。

今回の能の演目が「小鍛冶」ということもありこの企画です。

こちらはスタッフも聞くことが出来ましたが、真剣を観る機会も滅多にないなか、天守閣でしかも素敵にライトアップされた刀身を間近に眺めながら刀匠のお話を聞くという、夢の中のお話のような時間でした。

お客様も「こんな近くで見たのは初めて」と口にされていました。

そして、林本先生の解説。

いつも時間オーバーになることが多いのですがこの日は簡潔にご覧いただく「小鍛冶」の解説。

こちらもとても大切だと思います。

この雰囲気でお能を観るだけでもそれだけで満足いただけるとは思いますが、ちゃんと「伝える」という主催者側のお気持ち。

珍しいものを見た

ということに終わるのではなく、

「本物を伝える」

ガイドからセッティング、そして内容までもその気持ちが伝わる催しです。

全てが整い、はじまる天守閣でのお能。

半能「小鍛冶」

いつもの能楽堂とはずいぶん勝手が違うはずですが、能楽師の先生方はその場にあわせた配置と動きで対応されています。

能楽堂の橋掛のように横からではなく、奥からお囃子方、地謡、そしてワキが登場するのも大変面白く、どんどんこちらに迫ってくるような臨場感が味わえました。

糺能で拝見した時にも感じましたが、奥からの登場は時代を超えてやってくるような感覚になります。

またこちらの音の響きがとても良く驚きました!

設備で効果を高めているのではなく、本来の姿でありながらこの音響効果!

こういった機会がないと、気づくことも触れることもなかったことです。

謡や囃子の高まりで観ている側の気持ちもどんどん…そしてそれが最高潮になったのは、おシテの稲荷明神の登場でした!

この日は笠田祐樹先生。

装束をつけると頭上など注意しなくてはいけないところを事前にチェックされていましたが、本番はそんな事を観ている側がわからないほどの勢いでまさに「現れた」という表現がしっくりきました。

国宝ということで、拍子など制限もあったようですが、迫力が損なわれることはない勇ましい稲荷明神でした。

スタッフはもちろん後方から拝見してましたがあの臨場感…きっと参加のお客様はもっとすごい体験をされたと思います。

場所の効果を更に引き立てるお能。

改めてその素晴らしさを感じることができました。

終わって…

能楽師の先生方が去るまで誰一人として動けず言葉を発せず…

しばらくして拍手が湧き起こるという会場。

思わずあとで担当の方に

「能楽堂は本来演者が去るまで拍手をしないというしきたりがあるのですが、その説明をされたのでしょうか?」と聞いてしまいましたが

もちろんそんなことはなく…

自然とそうなってしまったのです。

添乗員スタッフがお声がけしてやっと

「余韻が…」とお客様から漏れた言葉。

素晴らしい体験、まさにプレミアムプランだと最後にまた思いました。

底冷えはどうしてもする天守閣。

全てが終わってから、足の指先が痛いほど冷たいことに気づいたほどでした(お客様は毛氈の上におられます)。

日本の伝統が改めて見直されたり広まったりそんな機会は、演者側の工夫でも多々ありますが、こういった特別感のある企画は姫路城ならでは、姫路ならではだと開催に感謝する催しでした。

ありがとうございます!