「スペクタクル新作能『光秀』×甲冑隊」スタッフレポート
能meetsスタッフブログ能meetsスタッフです。
久しぶりの番外編レポートとなりました。
3月8日福知山城 特設ステージ「スペクタクル新作能『光秀』×甲冑隊」
が開催されました。
こちらは去年「福知山城チャレンジ」という、前澤友作さんのふるさと納税500万円を福知山城を舞台にした良いインパクトを世の中に与えるアイデアに活用する企画公募したものでした。
そちらに能楽師小鼓方の上田敦史先生がこの新作能「光秀」を応募されておりました。
投票の際はお稽古場や講座で林本先生が告知をされ、スタッフも能meetsの皆さまに向けたチラシ等を作成し、微力ながら応援させていただいておりました。
それが見事多くの応募の中から選ばれ、開催に至ったのです!!
こちらのおシテを林本先生が勤められるということと、もちろん企画段階から応援させていただいていたので是非とも観に行きたいと思っていたのですが…能meetsブログで取材をしませんかと林本先生からお話があり、上田敦史先生にも許可をいただき、行ってまいりました!
しかしながら…
当日は多くの応募がある中、抽選で観覧のお客様を募っていたのですが、状況から無観客となってしまいました。
その分、オンライン配信となりより多くの皆さまに観ていただける機会になったようです!
先生方は前日にも申合せがあったようです。
新作能という事で、何度も何度も話し合いや打ち合わせを重ねていらっしゃった印象です。
そして当日は朝から福知山城へいったのですが…
気温はそこまで高くないのですが晴天!!
もう立派な舞台がお城の真ん前にっ
平置きを想像していたのですが、浮かしてある観やすい立派な舞台でした。
足場はジャリ、しかも真っすぐではないので舞台の平衡を取るのは大変な作業だったはずです。
多くの舞台スタッフさんと、撮影スタッフさん、もちろん企画スタッフの皆さんがそれぞれのお仕事をされていて活気に満ちた現場でした。
能楽師の先生方はお城の中と、舞台の端にある特設のテントが楽屋。
さ、寒そうです…
スタッフが到着すると既に林本先生は山中先生と共に、装束の準備をされていました。
外だと大変そうです。ジャリの上の敷物を歩くたびに「痛い!」と山中先生が…冷たいしジャリの刺激で…
それをご覧になってた梅若基徳先生が「健康になりそうだね」と仰り楽屋の空気が和んでいました。
楽屋にあまりに居るのも気が引けるので、舞台の方を中心に見ておりましたが、この新作能にはもうひとつ大きな取組があり、それが地元の方が参加される甲冑隊。
30名ほどの甲冑に身を包んだ皆さんが練習を重ねていたそうです。
まずはその方々のリハーサル。
鉄砲隊と、斬り組と。
能meets殺陣で斬り組の難しさは知っていたので、皆さんが甲冑姿で、しかもジャリの上での飛び回りなど興味深く拝見しておりました。
終わるたびに、上田敦史先生がハンドマイクで皆さんに注意点や確認や、取り組む気持ちなどをお話され、ご一緒に指導にあたられいた松野先生も心配そうにご覧になりながら、アドバイスなどをされていたのが印象的でした。
3回のリハでしたが、先生方のお話もありどんどんと迫力が出て来ていたように思います。
こちらがまた本番でどうなるのか・・・楽しみです!
配信がメインとなってしまったので、映像監督の方の打ち合わせや、更に音のチェックなど慎重に進めていかれていました。
本来申合せではあまりない、装束を付けて本番さながらの進行。
なので、殆どの先生方が2回公演をすることになった今回。
結果午前中から夕方まで装束姿や、舞台に長時間座るなど、とても大変な舞台となっていました。
舞台を観ている側は日陰になると、どうしても寒かったのですが…
舞台上は日が直接当たり、先生方によってはかなり眩しかったり、暑いところもあったようですが、拝見しているともちろんそんな事は微塵も感じません。
かなり寒い中…大鼓の森山先生が「どうぞ」とカイロを下さいました!
これが本当にありがたく…助かりましたっ
森山先生ありがとうございます!
申合せの後は殆ど間をあけることなく、本番!
楽屋にはその時点ではもう入っておりませんが、先生方は本当に大変だったと思います。
休憩などほぼなかったのでは…
そんな中、上田敦史先生は企画者という事もあり、ずっとスタッフさんや参加の方、取材の方と打ち合わせをされていました。
舞台進行も大変なお仕事です。
新作能の前には、創作舞「ガラシャ」
そこではロビン・デュプイ氏のチェロ演奏と噺子方の先生方との共演がありました。
珍しい試みです。
そしていよいよ新作能「光秀」本番…!
疲れもあったと思います、野外のコンディション、そんな中での本番。
ここまでのご苦労が昇華されるそんな舞台だったのではないでしょうか。
皆さんが緊張感を持ち、それぞれの力を持ち寄るお能の舞台。
それを感じることが出来ました。
お能のセオリーに沿ってしっかりと考えられ創られた作品だったので、非常に観やすく、更に言葉も福知山に所縁の地名や人名などたくさん出て来て、面白く感じられました。
甲冑隊も能舞台と同時進行ではなく、考えられた「共演」の仕方で、是非ともそのあたりはオンライン配信を見ていただきたいと思います!
申合せではやらなかった能楽師の先生による斬り組も、ワクワク拝見しておりました!
能meets殺陣では能楽師の先生同士の斬り組ではないので、プロの能楽師の先生同士の戦い…見ている方も力が入りました。
とても見所が多く、魅力的に創られた作品。
その中に、お能を大切にしている気持ちと、出来る範囲での挑戦や試み。観ていて熱くなりました!
素晴らしい瞬間に立ち会えて本当に幸せです。
最後の最後まで上田敦史先生は取材を受けていらっしゃり、それを受けながら他の先生方も本番終わりの最後の撮影まで勤めていらっしゃいました。
この日が「光秀」の始まり。
ここから上演を重ね、どんどんブラッシュアップされ、多くの方に届く事になることを願っています。
この日まで尽力された先生方、当日長時間舞台に携わった先生方、スタッフの皆さま、本当にお疲れ様でした!
そして何よりおめでとうございます!
こちらで後日の配信などまた告知されることと思います。
終わった後、楽屋での会話で…
能meets能「国栖」でもシテツレでお世話になった山田さんが「新作能でしたけど林本先生がシテだったので安心感がありました」と笑顔で仰っていて…スタッフとしても誇らしかったのですが
林本先生が「もう一回言って」とすぐに笑いに変えていたところが、らしいな、と思いました。
お疲れのところ、ありがとうございました。
おまけ
福知山城の自動販売機