五番目物 土蜘蛛つちぐも いかに頼光 御心地は何と御座候ぞ 武家の棟梁・源頼光が病気で寝込んでいるところに、侍女の胡蝶という女性が薬を持って見舞いに訪れる。その夜、いつの間にか現れた怪しい僧が頼光の枕元へと迫り、古歌を詠じるや、頼光に蜘蛛の糸を投げかける。頼光
五番目物 猩々乱しょうじょうみだれ 汲めども尽きず 飲めども変わらぬ 秋の夜の盃 昔、中国・潯陽に住む孝行者の高風という男が、夢のお告げに従って市場で酒を売ると、大金持ちになった。そこに高風の酒を飲んでも顔色の変わらない不思議な客が来て、自分は海中に住む「猩々」という精霊であると告
五番目物 舎利しゃり 今は何をか裹むべき その古の疾鬼が執心 なほこの舎利に望みあり 出雲国の僧が都に上り、牙舎利(ブッダの歯)で有名な泉涌寺を訪ねる。僧が舎利を拝観していると、いつの間にか里人が一緒に舎利を拝んでいる。里人は、仏教がインドで起こってから日本にまで伝来した歴史(仏法東漸
五番目物 石橋しゃっきょう げにも上なき獅子王の勢ひ 靡かぬ草木もなき時なれや 海を渡り、中国やインドの仏跡を巡る旅を続ける寂昭法師は、中国の清涼山で不思議な石橋の前に行きあう。すると、ひとりの樵の少年が現れ、この石橋について語る。幅は1尺(約30cm)にも満たないのに、長さは3