能meets能 夜討曽我に向けてスタッフレポート

能meetsスタッフブログ

スタッフです。

林本先生から「能にも斬り組(キリクミ)というチャンバラがあるんですよ」

と、お聞きしたのが2020年の初夏でした。

 

そのころ色々な行動が制限され、活動も中止延期が相次いでいて…能meetsでは考えた結果、ブログ企画として

お能入門から、舞台や道具や装束など

様々な「お能にまつわること」を動画ではなく敢えて文章と写真でお伝えするシリーズを更新し、それが思いのほか好評で、それを実写版として講座にしようと杉江能楽堂さまのご協力を得ながら新しい講座に取り組んでいた時期でした。

 

基礎的なもの、能面や装束など更には

今でも人気の一曲解説、世阿弥の言葉、などなど様々な視点から能楽に触れていただく、そしてそこから一歩踏み込んでいただく、そんな講座を能meetsでは日々考えていました。

その中で先生が「斬り組」は注目されると思うんです、と。

 

見たことがなかったので正直最初は「興味」という範疇を超えてはいませんでしたが、それまで数々の面白い企画を考えて下さっていた先生の言葉にスタッフ陣も賛同しかありませんでした。

ただ、これまでの講座と違って参加・体験がメイン。

参加者を集めないといけないし、稽古や準備も今までの講座のようにはいきません。

 

大阪ではいずれも杉江能楽堂さまで

第一回2021年1月末

第二回2021年8月末

第三回2022年11月3日

※第三回は今年の能meets能のきっかり1年前です。

 

そして先日、代々木能舞台さまで

東京初開催2023年10月7日

大変嬉しい成果を得られる企画となりました。

募集からお稽古、本番まで全てレポートお読みいただけます。

 

 

なんと大阪から東京までの全ての殺陣に参加されている方もいらっしゃいますし、大阪ではリピート参加率が非常に高い企画です。

今はまだお試しということもあり、お稽古と本番さらには着物や袴の貸し出しと当日の着付けまで考えると習い事としては、かなりお得な設定です。

 

今回は大阪も杉江能楽堂ではなく、別の場所で(アトリエS-PACEさま)お稽古。

東京は、能meets新橋をやっているビルと、武田修能館さま、と色々な場所でお稽古をやりました。

高さや、狭さなど問題があるところもありましたが、皆さま暑い中必死にお稽古される様子は毎回見ていてスタッフ陣もワクワクする光景でした。

 

最初は基本的な構えもおぼつかない方も、本番までに一ヶ月に一回ほどのペースで行われるお稽古に、回を重ねる度上達してこられるのも面白いです。

お能のお稽古と同じで、先生の前でやるお稽古と、日頃から自分でやる練習と。その二つの積み重ねなんですね。

 

また、こちらの殺陣を最初にやった時に、出勤くださった上野雄介先生に「観たことありますか?」と、夜討曽我十番斬の動画を見せていただいたのも本当に衝撃的でした。

こんな動きを!?こんなたくさんの出演者が!?

お能を見始めたころに「安宅」を拝見して受けて衝撃を思い出しました、夜討曽我は更にアクロバティックで!

 

「やってみたいけど、まぁ中々難しいです」

動画を見て気持ちが盛り上がったスタッフに先生が言われた言葉です。確かに…

 

でも、いつか

それはきっと先生だって思われていたはずです。

軽々しく「やりましょう」とは言えない曲でしたが、だからこそ、積み重ねていけばいつか、「夜討曽我 十番斬」に続く道もあるんじゃないかと、ただただその想いだけは持ちながら何度も能meets殺陣を企画しましたし、他の講座も。

高知でも大阪でやっているような能meets殺陣とまではいきませんが、殺陣体験は実施しました。

やりたいと思って行動しないと、やれるものもやれないですよね。夢のようだと思いつつ、能meetsの講座も、殺陣もそして能meets能も、着実にすこしずつですが、その時出来る事のちょっと無理を、少し頑張って…そんな風に取り組んできたこれまででした。

 

能meets殺陣だけを見ると、かなり予算的には厳しいものですが、これはいずれ夜討曽我に続くものだと思い

参加料や催しのチケットなどもほぼあげず、実施してきました。

 

 

2021年の終わりごろ、2022年のスケジュールはほぼ決め、その後2023年になにをやるか…

夜討曽我の話がまた出ました。

もちろんそれまでも何度も出たことはありましたが、チラッと出ては「まぁいつか」で終わっていたその話を、現実的に。

ついに、と。

先生は中々、うんと言わず…大人数の先生方に依頼をしなければいけないのに、動いて下さらず…

本当にやれるんですか?やるんですか?みたいなやり取りがミーティングでも何度も出ました。

 

会計は、夜討曽我までの資金計画を出して

この場合はこうなります、こうなったとしても、こうです

ここをちょっと頑張れば、こうです

と、先生を納得させるものを用意しました。

 

宝くじでも当たらなければどうやったって「何の問題も苦労もなく出来る」そんな計画ではなかったのですが…

 

先生も、やりたくないなんて事はないんです。

だからこそ「何とか頑張れば、可能性はあります」と、ひとつでもその安心材料を提示したスタッフ陣を前に

「やりましょう」と。ようやく。

やると決めてからはもうこの公演に向けて…

チラシも先生と二度、スタッフと一度と、デザイナーの笹田さんとも打ち合わせを重ね。

本番は山中能舞台をお借りして撮影でしたが、その前には井戸能舞台で仮のカットを撮影したり…

 

カメラマンの徳春さんも遅い時間からの撮影に丁寧に応えて下さいました。

その場で出たアイディアで色々撮ってみたり。

 

その結果、チラシとポスターと違うデザインが出来上がりました。

ポスターもスタッフの中では、駅貼りをやってみたらどうだと案が出て、それを想定して作成しました。

 

広告代理店の方とも何度もメールや、実際にお会いして色々提案いただいたり打ち合わせを重ね、

実際に地下鉄でその光景を見た時は本当に感動しました。

 

ただスタッフが出来る事は限られています。

やはり実質的な負担がかかるのは林本先生です。

 

今回は、能meets殺陣東京・大阪での能meets殺陣

そして本番の夜討曽我 十番斬と、先生は三つの型付けを考えないといけません。もちろん覚えないといけません。

 

大阪の能meets殺陣本番の斬り組は、さすがに林本先生ではありませんが、お稽古をつけるのは林本先生です。

やはり全部を覚えないといけません。

 

殺陣東京と大阪は似たような型付けですが、その中での個人個人で少し変えているので全く一緒ではないんですね。

これがまたややこしく…型付け自体も苦労されていましたが、それを実際にお稽古するとなるとほぼほぼ一人で全てをやらないといけないという…

 

お稽古は見ていて、倒れるんじゃないかと思うほどでした。

今回は東京も大阪も12名の方が参加されます。

1人の方に指導している間は他の方は自主稽古になるので、先生はそれを気にして休みを取らずずーーっと動いてずーーーっと喋っている状態。

時々スタッフの中から「休憩しましょう。」と言っても

「皆さん見てる方も多いので大丈夫ですよね?」と続けようとされるので

「先生の休憩です!お水飲んでください。」と言わないといけないくらいでした。

 

東京でお力を貸していただいた

武田宗典先生、武田崇史先生には本当に感謝致します。

 

林本先生は、殺陣のお稽古の時以外にもご自身のお稽古場を使って、型付けを考えたり、お稽古したり

そして初めて使う代々木能舞台にはもちろん下見も。

 

実にたくさんの時間を費やして、この舞台に懸けてきました。

 

更には講座。

先生のおシテの公演はもちろん定期講座の北浜(大阪)ではやりますが、能meets能はオンライン配信を予定しているので、全国でやることもありました。

今回は中でも最多となります。

 

7月30日 能meets北浜(大阪)北浜レポ

10月7日 能meets殺陣東京(代々木能舞台)殺陣東京レポ

10月8日 能meets博多(福岡)博多レポ

10月30日 能meets宇都宮(栃木)詳細

11月3日 能meets殺陣(大阪・大槻能楽堂)詳細

11月27日 能meets高知 詳細

12月3日 能meets長崎 詳細

 

中でも10月7日からの8日という

東京で催し、そして福岡で2講座。

これは相当先生も体力的に大変だったと思います。

講座はスタッフでは代われません(当たり前ですが)せめて食事や他の事はと思いますが中々行き届かず…

 

10月7日の催し後も片付けなどでかなりお疲れでした。

前日のキャスト変更などもあったので余計だったかもしれませんが、ご自身でも「11月3日は、この後に本番ですよね」と笑いながら仰ってましたが…

 

当日に講座が、さらには能meets殺陣をやれば、たくさんの方に観ていただけるし、講座を見てお能を観るということの面白さを知ってもらえると思います!と、企画しておきながら…

やはり大変な曲のおシテ前に事前講座をご自身で、というのはかなりイレギュラーで、かつ無理なお願いをしてしまったと感じました。

 

当日少しでも先生の負担がないようにと、スタッフ陣も今からもう本番のシミュレーションをしています。

 

もちろん情宣活動

出来うる限り、新聞社さまや来月訪れる高知でも

たくさんの人にあったり、チラシをお渡ししたり、お話させていただいたり、企画書をまずは送ってみたり。

その時間も先生にはいただいていますし、どうしても無理な場合はスタッフでそれをカバーしています。

 

 

他にも事務的、制作的作業は山ほどありますが

全て公演を成功させるため。

それには、まだまだ、まだまだです。

まだチケットございます。

そして事前講座の能meets殺陣もまだまだご覧いただけます。

お能を観られる方の中には

「講座を受けるのは好きではない」という方もいらっしゃるのは理解しています。

でも能meetsは、林本先生は

決まったことを仰る講座ではなく、多面的に捉えて

あくまで見るヒントをそっと提示してくれる、そんな講座です。

更には能meets殺陣という新しいコンテンツで、お能の魅力をまた別の方向から伝えても下さいます。

それは参加者の皆様や、お手伝いいただく能楽師の先生方のお力も借りて、成立するものです。

ひとりで好き勝手にやるものではありません、舞台はここからもう始まっています。

 

 

能舞台に立つとういう緊張感。

少ないお稽古と、たっぷりとあるはずの練習時間。

一度きりの申合せ(所謂ゲネプロ…本番同様の最終通し)

 

能meets殺陣で斬り組シーン

今まで大阪で3回

東京で1回

スタッフも見所(客席)から拝見してきました。

それは、たった10分程の切り抜きですし、プロの能楽師の方々ではありませんが、

どれも素晴らしい成果をみせて下さいました。

 

「気」が満ちていた舞台でした。

林本先生の指導の仕方、そしてそれを見事にサポートしてくださる能楽師の先生方。

 

 

11月3日は11時半からそちらもご覧いただけます。

そして夜討曽我が斬り組が珍しいだけのお話ではない事も、その前に解説でお話しくださいます。

前場の見どころ。

書かれていないけれども、それをどう感じるかというお話。

当日のおシテ自らのお話。

 

その後に、参加者の「一度限りの舞台に懸ける気」を観ていただき、いよいよ15時からが

能meets能「夜討曽我 十番斬」

片時も忘るる事はー

です。

 

先生が考えて考えてご覧いただきいとお願いした出演者の皆さま。

仕舞、舞囃子。

これぞ、というプロの集うお舞台です。

 

立衆の顔も並べたいと、皆さまからお写真をお借りしてデザインしたチラシ。

集めるのは結構苦労しましたが…

バックにある烏帽子や太刀も先生やデザイナーの笹田さんがセッティングをし、山中能舞台で実際に撮った写真で、フリー素材を使ったわけではありません。

ひとつひとつ。

丁寧に。

細部もこだわって。

 

 

ポスターには先生を配置したデザインを採用。

夜討のイメージ

戦いを物語る画

この積み重ねがいよいよ

本番を迎えようとしています。

「また次」というのは中々難しい曲です。

間違いなく能meetsのひとつの集大成となる舞台です。

 

いよいよ

 

11月3日(祝金)

大槻能楽堂

11時半~

事前講座 

能meets 殺陣 

3,000円

15時~

能meets能 

夜討曽我  十番斬

SS席 10,000円完売御礼

S席 8,000円 

後方のみ(残り僅か)

A席 6,000円 

ワキ正面は前方あり

B席 3,000円 

残り僅か!

※当日券1000円アップ

※11/3事前講座とセット券(1,000円引き)あり

※すでに夜討曽我のチケットをお持ちの方もあとからセット券への変更賜りますので大の会はご連絡ください(noh_dai05@yahoo.co.jp)

チケットはコチラ

 

心より、お待ちしております。