ホテル会場にて「石橋」つとめました

レポート

1月18日(土)、リーガロイヤルホテル大阪の「光琳の間」におきまして、能では大曲の「石橋 大獅子」をつとめさせていただきました。

こちらは、吹田市医師会様の80周年の記念会の開宴冒頭に、お祝いとして舞わせていただきましたものです。私が吹田市に住まいしていることもあって御縁をいただき、お引き受け致しましてから、半年間ほどスタッフの方々と打合せを行い、当日はつつがなく終える事が出来ました。

このようなお祝いの席で能を舞わせていただくことは実はたくさんあり、結婚式や団体の周年記念、地元の町おこしの一環や会社の研修などの際にも能が演じられる機会はまだまだ残っております。

私が引き受ける際には、なるべくその会の始めにお時間を設定していただき、「お客様があっと驚く」ような舞台を心がけています。

例えば酒宴が始まり、もうお客様お酒がある程度すすんだ時間に能を演じる場合と、会が始まったばかりの緊張感が持続している時に演じる場合は、明らかに評判が違います。

単純に「舞台をすればいい」のではなく、そのお客様が今舞台に気持ちを向けているのか、そうでないのか、そのコンディションによって始まる時間や演出を変えないといけないのです。そしてその事は、既に650年前に世阿弥が説いています。

講座などでお客様にお話しをする時でも、一辺倒にお話しするのではなく、「今お客様はどの話に興味を持たれているのか」を、喋っている間にそれを感じとり、必要ならば話題を平気で変えます……。

その結果予定時間より遅れてしまう事もしばしばですが。しかし、お客様の理解の度合い、興味の度合いによっては、膨らませるところでない話を時間かけてみたり、話そうとおもっていた内容を思い切って削除したりします。

古典芸能は「決まっていることをただ演じるだけ」と勘違いされる事もございますが、柔軟な面もあり、いい意味で「曖昧に」出来ている面もあります。

今回の「石橋」は、東京より山階彌右衛門師にわざわざお越しいただき、親獅子である白獅子を舞っていただき、私が子獅子である赤獅子を勤めました。また吹田市在住で人間国宝の太鼓方・三島元太郎師にも来演いただきました。その他多くの御出演の皆様に支えられ、私も気持ちよく舞台を勤めました。

写真は、野口英一さん。7~8年前にふと私の舞台を撮影していただきました事がきっかけで、ご多忙の所ご依頼申し上げ、今回久しぶりに撮影していただきました。

そして何よりも半年もの間良き舞台を作ろうと働きかけをしてくださいました、吹田市医師会・雨宮様や、当日いろいろと助けていただきました事務長・川端様、細部に至りお世話になりました吹田メイシアター古矢様・日和様、本当にありがとうございました。