12月に観月能?!
お知らせ能の催しは、どうしてもタイトルに「〇〇能」と、能の一字を入れないとお分かりいただけない事が多く、さりながらその反対に、「〇〇能」とついていれば「能が演じられるのだな」と勘違いされる事もしばしば。
12月1日(日)徳島城博物館にて、今回で20回目を迎えます「観月能」が催されます。
※その少し前より、「能面展」も開催します。
この催し、能である事に間違いないのですが、皆様が一般に想像される「能」とはおそらく演じる形式が異なります。
「能」の演じる形式とは、
(1)まず完全な形、つまり一曲を全て始めから最後まで、能装束を身に付け、8名の地謡によるいわゆるコーラス(ナレーションの役目)、立ち役も揃い(ワキ・狂言)、4つまたは3つの囃子の演奏も伴うものを、一般的に「能」または「能楽」と呼びます。
(2)最近はその一曲の後半のみを演じる事もケースもみられます。能の盛り上がりは後半になる事が多く、その盛り上がる部分のみを演じるもので、これを「半能」といいます。
(3)その半能をさらに短くし、重要な部分だけを、立ち役をシテ1人のみとしワキや狂言の役を省き、能装束も着ず紋付袴姿、地謡も4~5名に減らし、演奏するものは「舞囃子」となります。時間も1曲10~20分程と短くなります。
(4)上記の舞囃子から、さらに囃子の演奏を省略し、4名の地謡によるシテの舞のみの形式は「仕舞」といいます。こちらは一曲3~7分程です。
(5)また、この仕舞から更に舞を省略するものもあります。これは「素謡」と呼び、基本的には一曲全体を、主にシテ方が舞台に着座しその謡を謡うのみになります。こちらは1曲30~60分でしょうか。
その他、素謡に囃子を加えた「番囃子」、素謡の一部分を複数人で謡う「連吟」、その連吟を独りで謡えば「独吟」など、他にも様々ございます。
今回の「観月能」は、仕舞・素謡・独吟を、徳島城博物館で6月から講座を受講され、その講座の一環でお稽古された皆様がご披露なさいます。
皆様そろそろお尻に火がついてきたのか、必死にお稽古されておられます。
この催しは、長年徳島に能を普及するために尽力してこられました観世流能楽師、高橋京子先生(本年春ご逝去されました)から直接お話しをいただき、後を託したいという思いを引き継がせていただきました。
本来は秋に行っていたものを、私の都合で12月に変更していただいたのですが、その際に「12月に観月能という名はふさわしくない」という意見もありました。しかし本年は20年続いてきたこの名前を敢えて使うことに致しました。
私自身、運営等分からない事ばかりでしたが、受講生の皆様に助けられ、色々と教えていただき、ようやく催しの運びとなりました。
「徳島で能を広めたい」高橋先生の思いを、受講生の皆様と一緒に繋いでいきたいと考えています。皆様是非お越しください。同日能面展を別室にて開催し、私も13:00~解説をさせていただきます。