能meets能「安達原」スタッフレポート
能meetsスタッフブログスタッフです。
11月20日(日)
第三回能meets能「鬼女ふたり~こころ、ならずも」高知公演「安達原」
蛸蔵の特設能舞台で開催致しました。
昨日の「神男女狂鬼」と二日連続の能の催し。
設営からずっとお力添えいただいている高知スタッフの皆さまに助けられてこそ叶う公演でした。
当日は11時半開演ということで
9時半からは場当たり的な舞台の確認…でしたがほとんどの先生方が9時過ぎには揃っておられ、早くにスタートとなりました。
普段小劇場公演に多く携わっている現地スタッフの皆さんは、スーツ姿でビシッと揃われる先生方に圧倒されていたようです。確かに…
先生方に於かれましては大阪や兵庫、はたまた東京から、高知までお越しいただきました。本当にありがたいです。
橋掛かりや楽屋が特殊な構造のため、確認が色々と必要ですが10月の下見の時に、それまでとは逆になる配置のこの舞台に決めた林本先生、そして昨日の「神男女狂鬼」に参加いただいた先生方との打ち合わせもあり、スムーズな打ち合わせでした。
打合せの全てを見ていたわけではありませんが、漏れ聞こえてくる様子で
「言ってくれたらそれをやります」とか「そちらで決めて下さい」ということではなく、それぞれの先生方がこの公演のために最善を考えて下さっているという空気が感じられました。
林本先生や、能meetsスタッフの公演への想いを汲み取っていただけているのだと…
もうここから「いい公演になる」という期待が…いや、仕込んでいただいた舞台を観た時から思いましたが、更にその想いが増しました。
特設舞台を観た山中雅志先生も
「これを作ったの??」と驚かれ、更には「安達原によく合いますね」と話しかけて下さり、スタッフ一同本当に報われた気持ちになりました。
お囃子解説の中田弘美先生も、事前に客層を聞かれたりと「今日のための舞台」を、という気持ちに嬉しくなりました。
お客様も早めに到着され、開演を待たれていたり
タクシーでわざわざ来られたりと、
「期待」という気持ちが伝わる会場でした。
本日のシテの林本先生がまず出て来られ、ご挨拶。
能meetsやこの高知公演へのこれまでを話され…
そして囃子解説、いきなりの演奏からピリッとした緊張感…の中で、中田先生の楽しいお話。
一気に会場の空気が和みました。
そして仕舞
静かなものと激しい動きの大きいもの。
こちらも皆さんが前のめりに観て下さっていました。
休憩を挟んでいよいよ、能「安達原」
これまでは能meets高知で林本先生のみが
去年の「静と動」では舞囃子を
とやってきましたが、初のお能。
お囃子、そして地謡、そして後見が作り物を設置…
いつも見ているお能のはじまりですが…全然違う感覚も今日はうまれます。
装束をつけた山伏役のワキが登場したときには「ここまでこられた」という感慨が一度に押し寄せました。
お能が始まる!…高知で!
そして能楽堂ではなくとも、蛸蔵で林本先生が構造を舞台スタッフと練り、高知スタッフの皆さまが設営をしてくださった立派な特設舞台で…!
そんな気持ちも最初だけで…
あとは「安達原」を存分に堪能しました。
臨場感と迫力
繊細な部分もしっかりと観られる距離感。
橋掛かりが舞台から後ろへと向かっているので正面席にいながらワキ席の醍醐味も味わえるようなお得感でした。
しかもこちらを2公演。
お能では中々ないことですが、先生方も不便や不自由もあるなか、勤めていただきました。
本当にありがとうございました。
想いだけでは出来ませんが、想いがなければここまでの舞台にはなっていないといつも能meets能をやりながら感じます。
何よりもお客様。
当日券もかなり来てくださり、中にはとてもお若い方も…高知は実は北浜や新橋に比べて少し年齢層が高いお客様が多いのですが今回もそうでした。
杖をつきながらもきていただき、お帰りの際に
「楽しかった」と笑顔をくださったり、
当日の受付スタッフも舞台を拝見したのですが、あるスタッフの横に座られて謡本を持ったご老人は
「お能は好きだけど、高知ではしょっちゅうあるものではないし、でも東京まで行くと更にお金がかかるから、ここでやるんだったらもっとチケット高くしてもいいよ」と笑って仰って下さったり、一緒に来られた若いご家族に拍手のタイミングを教えていたり…終演後第一声で「アッちゅう間だった」と、とても嬉しそうでしたと、報告してくれているスタッフも嬉しそうでした。
お能を見たことがない方に…という気持ちはありますし、そのために新しい土地へ行ったり、どんな講座がいいのかと考えることもありますが
「出会い」だけではなく「再会」もあるのだと今回思いました。
もともとお能が好きな方にも楽しんでいただける公演をできたということがとても誇らしく、こちらも感動をいただきました。
それも高知スタッフの皆さま、お力添えいただいた能楽師の先生方のお陰です。
舞台が終わるとすぐさま撤収作業。
前日夕方から仕込んだ舞台が2時間ほどでなにもなくなって元の蛸蔵の空間へと戻ってしまいました。
なにもなくなった舞台を見ていた林本先生…
何を感じていらっしゃるのでしょうか
案外この後のお酒が楽しみなのかもしれません。
高知スタッフ中心となってくださったヨシダワークス吉田さんと先生と!
吉田さんは前回安達原の講座を「会心の講座!」と仰ってくださっていました。
当日、講座を受けずに「安達原」に来てくださった若いお知り合いに「観ながらも解説をしたかった!ここはこんな意味がある、とか…」と熱心に語ってくださっていたのがとても印象的でした。
スタッフとしての苦労をかけておりますが…講座に積極的に参加くださり、楽しんでくださってるのがとても嬉しいです。
ひとつの目標であった
「能meets能高知公演」が
終了しました。
思い返すと、この形でここで出来たことが最善だったと思える、そんな公演となりました。
本当にありがとうございました。
来年は大きな舞台「夜討曽我 十番斬」を大阪で予定しているので他地方での公演は難しいと思いますが。
またやりたいと思える今回の高知公演でした。
そして今日11月21日からは
能meets能 大阪公演「葵上」の
オンライン配信がスタートしております!
11月21日10時~12月20日23時59分まで!
※チケットは12月20日21時まで発売
期間中は何度でも観ていただけますし
配信公演特典として小鼓方の上田敦史先生とのアフタートークも収録しております。
そしてこの初の高知公演は
来月2日から配信予定をしております。
是非とも!!