能meets北浜「通盛」スタッフレポート

能meetsスタッフブログ

スタッフです。

7月17日(金)19時能meets北浜「通盛」一曲解説

開催しました。

 

本日林本先生は呼子の保育園WS終了後、お昼前に大阪へ移動

到着はなんと夕方16時半すぎ…

相変わらずの怒涛のスケジュールです。

 

この通盛、スタッフは舞台でも拝見したことがなく

聞いたこともあったかな?くらいの曲でした。

高知での能meetsの際に、少しこの通盛についてお聞きしたのですが…

その時にすでに込み上げてくるような内容でした。

果たして解説でどうなるのか、大変楽しみにしていた、68回目となる北浜講座です。

 

初めての方もたくさんご来場いただきました!

ありがとうございます。

 

 

まずは修羅物のお話を

ここから始めなければいけません。

そして、作者 井阿弥 のこと

改作は世阿弥ですが、どの部分を、というのは詳しくはわかっていないようです。

これも興味深いですね、世阿弥なら…と考えることが出来そうです。

 

教科書には載らない平家方のお話は、いつも色々な思いを受け取ることが出来ます。

先生がかつて通盛を上演した時のエピソードなども最初に聴き、ますます期待が高まりました。

 

通盛と小宰相局のお話

ふたりの馴れ初め、そして一ノ谷の合戦前夜、通盛の戦死、それを聞いた小宰相局の自死、それを止める乳母の話、弔われた小宰相の話

それを知ってから…いよいよ本編へと

ここまででもうすでに20分…!

 

後見が運んでくる舟の作り物、そしてそこについているかがり火。
後々このかがり火が重要になると
この作り物のルールも、大変面白いです。
シテとツレ、ワキの説明もされつつ…舟の設定の不思議な部分も。
前半の動きのなさとそれによって正面席からほとんど見えない主役、そして第一声も主役ではないなど、これまでとは違う進み方も珍しく感じます。
…珍しく感じるほど、色々な曲の解説や舞台を観たのだな、ということも感じた本日でした。
しばらく続くストーリーとはあまり関係ない、情景の謡。
動きもほぼありませんが(シテは正面から見えませんし)こういう部分を楽しめるかどうかも重要です、と先生。
きっと、演者によっても変わってくるところだと思います。

 

かがり火が演出として効いてくる、お経の場面。
作り物が印象的に三者の間にあるのだと想像すると、実際に舞台で観たくなります。
こういった物理的な位置関係が表現する内面的な距離も大変面白いと思います。
西へ向かう意味、西方浄土という考え。
これも能を知ってから得た知識です。
そして語られる入水の場面、その演出や、その後の前場の終わり方、後見座にいく演出とその効果。
前半は動きがない分、謡の実演をたっぷり聞くことができました。

 

 

アイ狂言終わりでは、他人事が自分ごとになってきている能の見せ方。
そして後場で太鼓が演奏されるタイミング、その意味。
今日は能の演出やその効果を改めてしっかりと伝えられたような気がします。
やはりルールを知っていると見どころも変わります。

 

 

後場の位置関係もまた興味深いものでした。
そして床几にかけて…と話されたとき、今日は楽屋に置いたままだったので忘れてたのかな、と思いましたが
すぐに立つから今日はわざと用意しませんでした、ということでした。
これもいつもとは違う部分です。
そしてそこからも通盛だけこういう向きで進みます、というお話。
サブタイトルになっている部分の謡は非常に強く、激しく、急展開で、そのあとすぐに普通に先生が解説に移ったのが、もうこれまで何度もこの切り替えを聞いてみているはずなのに、今日はとても印象的でした。
二足の意味や、ある方のやりっぷりなど実際に舞台が観たくなるお話がたくさんでした。
そして同幕で終わる舞台。

 

 

最後に付け加えられた先生のお話。
これは人によって大いに感じ方が違うのではないでしょうか。
最後まで聞くと前半の位置や、第一声の話、老人は誰なのかということ
見え方が変わってきそうです。
そしてこの細やかな演出やお話のどの部分を世阿弥が改編したのか…それを考えるためにももっともっと能を知りたいと思いました。
今日は「この曲だけです」「珍しいのですが」という言葉が大変多かったと思います。
色々設定が変わったり、舟の描写が疑問だったり、
言葉が多すぎると言われて改編されたと言われている曲ですが
それほど作者の「ここを書きたい!」という想いがあったのではないかな、などと感じた「通盛」でした。

 

皆様ご参加ありがとうございました!

 

次回 能meets北浜

8月4日(月)19時

「善界」一曲解説

来月上旬開催なのでもう間もなくですね!お待ちしております。

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同じ大阪開催

能meets謡十徳も来週に迫りました。

7月27日(日)11時

清経を解説後、皆でお稽古して謡います!まだまだお待ちしております!
扇町ミュージアムキューブ CUBE05

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