能meets北浜「屋島」スタッフレポート
能meetsスタッフブログスタッフです。
5月19日(月)19時 能meets北浜「屋島」一曲解説
開催しました。
先月が特別企画「お花見」だったので、かなり久しぶりの一曲解説に感じます。
新橋では実はもう解説しました「屋島」
一度開催した解説前には、スタッフレポートを読み返すのですが、かなり興奮した内容でしたのでまたまた楽しみにしていた本日でした。
そして、今回は少し会場の設えを変更してみました。
先生自ら席に座って見え方を検証もしましたが、実際にお客様が入られるとまた変わるかもしれません…
またお客様の反応をお聞きして今後も試行錯誤しながら進めたいと思います。
「屋島」についてのこぼれ話がスタッフも初耳で驚いたところから始まりました。
まず修羅能について。
大事な伏線です。
作者は諸説ありながらも世阿弥といわれており、そして世阿弥作だとした場合、源氏側を主役にした作品はこの「屋島」と「箙」くらい、しかし平家側の曲はかなり多いというお話、世阿弥の言う「寿福増長」という考え
能の展開「複式夢幻能」の解説…
この中でも知識として色々なお話が聞けました。
しかしまだ「屋島」の話は始まっていません… なんとこの前置きで20分超え
いよいよ本編へと
でもまだ前準備
一ノ谷、屋島、壇ノ浦のお話、那須与一、錣引き、継信の話、弓流、などのエピソードも。
まるで歴史の授業のような場面もありました。
能のスタンダードとしては亡くなった場所に現れるのが、今回の義経は「屋島」では亡くなったわけではなく活躍した場所。
そこに執心がある…
それを聞いただけでも既にドラマが現れるような気持ちになりました。
そしてようやく「屋島」冒頭へ… 30分過ぎていましたが
設えを変えたので、橋掛かりの距離が出来、見え方も面白かったのではないでしょうか。
いきなり漢詩の引用。のどかさや春や夜の景色などを謡っている部分。
知っていれば想像も膨らみますし、能を知ることでこういった昔の文化も学ぶことが出来ます。
衝撃なのはこの登場人物が実は舟に乗っているという事実。
それも謡がわからなければ知り得ない演出です。
そしてシテが蔓桶に座ると、家に入ったというルール
シテとワキとの本来は家の中と外との会話
ワキを家に招き入れるのがシテが近づき座るという表現
こちらが想像する必要のある能の演出です。
物理的な説明ではなく、心象を表現した結果の表現であるというお話がとてもしっくりきました。
仕方話をするシテが普通ならば下に座るところ、床几(蔓桶)に腰掛ける今回、その理由は実演を観て納得です。
そしてその仕方話の内容、作者が実際の平家物語とは違う日付にした理由も含めての解説。
先ほどの前置きで聞いたエピソードがたくさん散りばめられています。
解説があったからこそ、謡の実演で「知ってる」「聞いたことがある」と思えました。
ツレの男が非常に気になるところです…。
前半終了し、アイ狂言の話も終わったところで、残りが15分ほど。
後場が始まります。
弓流(ゆみながし)や大事(だいじ)の小書き(特殊演出)がついた時のお話もありましたが、何度聞いても面白く、観てみたいと思います。
平家物語との違いも興味深い、クセの部分
命ではなく、名を惜しむ…その考え。
言葉にならない想いを型で表現するカケリの部分。
そうして曲が終わった後のお話。
タイトルのお話。
前半のシテの姿のお話、ツレの男のお話。
グッとこみ上げるものがある、林本先生の物語の見方だと感じました。
曲も講座も、非常に興味深い終わり方でした。
時間がオーバーしながら能面を一面もお見せせずに終わってしまいました本日
最後に展示してご覧いただきました。
前置きは大変長いものでしたが、「寿福増長」の話は何度聞いても感動します。
そしてこの考えこそが能を知るうえで大事だと毎回思う部分です。
更に、「雲居」「判官」これが何を指すのか…何度も講座を受けているとわかります。
知識があってからこそ楽しめる部分が増えるのだと、改めて感じた本日の講座でした。
皆様ご参加ありがとうございました。
次回 能meets北浜
6月5日(木)19時
「半蔀」一曲解説
能で知らなければ、なんて読むのか、そしてそれが一体なんなのかもわからかった半蔀(はじとみ)です。
皆様のご参加お待ちしております!
能meets謡十徳もよろしくお願いいたします!
