観世流能楽師 林本大(はやしもと・だい) オフィシャルサイト「大の会」 観世流能楽師 林本大 オフィシャルサイト「大の会」 dainokai.com

REPORT

林本大の近況を不定期更新でお送りさせていただきます。

平成28年(2016年)4月24日(日)

能を全くご存じでない方、少し興味のある方、さらに奥深く知りたい方……。いろんな方に、休日の朝に学べる能のワークショップ、「能活」のご案内です。

能には200曲程の色んな曲がございます。その中から1日1曲を取り上げ、その世界に触れながら、能のエッセンスを感じていただきます。1時間ほどのワークショップで、当日参加も可能です。

大阪市中央区の「山本能楽堂」は、能を少しでも多くの皆様に感じていただけるよう、いろんな企画をご用意しておりますが、この「能活」もその一つ。

「休日の朝に、お客様お越しいただけるのだろうか…」と不安でしたが、前クールも1回におよそ40~50名様ご来場下さいました。好評につき、今回第2弾です。

一回のみの参加でも十分お楽しみいただけるような企画です。

「能活」全8回
5/21(土)、6/18(土)、7/2(土)、7/31(日)
8/20(土)、9/17(土)、10/2(日)、10/23(日)
全回10:30~11:30
会場:山本能楽堂(地下鉄谷町四丁目駅4番出口徒歩4分)
参加費:1回1,000円
講師:林本大・前田和子ほか

このホームページからもお申込みいただけます。皆様是非お越しください。

たにまち能2016年6月公演

平成28年(2016年)4月13日(水)

長らく更新せず申し訳ございませんでした。

今回は、来る6月4日(土)大阪の山本能楽堂にて行われます「たにまち能」にて、能の人気曲の一つ、「葵上」を演じさせていただくことになりましたので、ご案内申し上げます。

「たにまち能」
日時:6月4日(土)13時(終了予定16時半頃) 
会場:山本能楽堂(地下鉄谷町四丁目駅4番出口徒歩4分)
内容:能《桜川》森本哲郎 能《太刀奪》岡村和彦 能《葵上》林本大 ほか

一言でいうと、サイコサスペンスの物語です。

能「葵上」は源氏物語を題材に、光源氏からの愛を失った女性の悲しみ、そして葵上に対する嫉妬、怒りが描かれており、貴婦人としてのプライドが主人公の心の奥底で葛藤している様が舞台で表現され、見た目の面白さもあって、人気曲ナンバーワンの作品となっています。

前半はほとんどシテ(主役)の独白によって進行していきます。また途中からはそのシテの心境を地謡(いわゆるコーラス)が受け取って代わりに語っていくという構成をとっています。そして後半は、鬼女となって登場し、修験者と激しく争う場面があり、見た目も面白いものとなっています。

光源氏の妻、葵上は重い病で苦しんでいます。といっても、事前に舞台の前に置かれた小袖が葵上なのです。実際に舞台に葵上を演じる役者は登場しません。

名医の治療を受け、高僧の祈祷を受けても回復の兆しは見えません。これはきっと何者かの怨霊がとり憑いたのではと、その正体を見るため、梓弓を引き、霊を呼び出すプロである巫女を呼ぶことにしました。

そして巫女に呼び出されるようにして女の霊が現れました。ただし設定上、この霊は巫女にしか見えていません。

この霊は、なにか悲しげな言葉をつぶやき涙を流しています。

そして葵の上の前に忍びより、恨み言葉を投げかけ、あげくの果てには暴力を加え胸元をつかんで連れ去ろうとまでしました。その霊は一瞬姿を消します。しかしその部屋のどこかには残っています。

さっそく横川の小聖(こひじり)といって、霊を退治する修験者が呼び出され、祈祷が始まります。

先ほどの怨霊は、今度は悪鬼の姿となって再び現れ、小聖と鬼女の格闘する場面展開となります。

ついには悪鬼は法力により成仏し、二度と現れないと約束して姿を消すのです。

後妻打ち(うわなりうち)と言って、夫に離縁された前妻が、他の親しい女たちと協力し、後妻を襲撃して乱暴を働くことが平安時代から行われていたそうです。刃物は使わず、箒や竹刀等を使用し、戦国時代には特に盛んであったといわれています。

しかしこれは下層階級の習俗でした。今回のシテ、六条御息所のような身分の高い貴婦人がとる行動ではないのです。それでも憎い葵上に恨みを晴らしたい、その気持ちが爆発をします。

「葵上ごときに嫉妬する私ではない」というプライドと、そのプライドを捨ててもあいつを打ち据えたいという思い。この二つ、いわゆる躁鬱の様なものを表現できなければと思います。

皆様是非お越しください。チケットお申込みの方はホームページのフォームよりお願いします。

たにまち能2016年6月公演

平成28年(2016年)1月27日(水)

しばらく投稿がなくて失礼いたしました。少し前ではありますが、林本大のことが毎日新聞に取り上げられていましたので、お知らせさせていただきます。

舞や楽器、気軽に「能活」 若手能楽師が解説 中央区で月1、2回/大阪
(毎日新聞 2016年1月25日大阪版)

「観世流能楽師林本大さん(38)が舞台中央にしずしずと歩み出ると、参加者の背筋がすっと伸びた。『これは西塔の傍らに住む武蔵坊弁慶にて候』。弁慶と牛若丸の出会いを描いた『橋弁慶』の一節を、林本さんが朗々と謡いだす。」

毎日新聞電子版にも掲載されましたので、詳しくはそちらをご覧下さい。→ http://mainichi.jp/articles/20160125/ddl/k27/040/218000c

毎日新聞2016年1月27日大阪版

平成27年(2015年)11月21日(土)

憧れの光源氏と初めて二人で過ごすことが叶った夜、物の怪に憑りつかれ、源氏に看取られながら19歳の短い生涯を閉じた女、夕顔の君。

それからどれ位長い年月がたったのでしょうか。梅雨まだおさまらぬ暑い夏の夕方、京都の雲林院という寺で僧が「立花供養」を行っています。

「立花供養」とは、花への供養の事。花はいつも仏前に供えられますが、つまりはその都度花を殺生していることになります。その花を弔うのです。

恭しく供養を行っているところへ現れる一人の女。手には白い夕顔の花を持ち、その花の供養を願い出ます。

手に取れば手ぶさに穢る立てながら三世の仏に花奉る
「手に取ってしまうと私の手で穢れてしまうので、このまま三世の仏に花を供 えましょう」

僧はその花に目が止まり、その「白き花のおのれひとり笑みの眉を開けたるは」どのような花ですかと尋ねます。

女は、「この黄昏時になんと愚かな事を御尋ねなさるのですか。いやしかしながら名前も人の名のようですし、身分の低い家の垣にかかっている花だから、ご 存じないのももっともです。これは夕顔の花というのですよ。」と答え、

われはこの花の蔭より参りたり
名はありながら亡き跡に なりし昔の物語

名はあったのですが今は私はこの世にないのですと言い、又遠い昔五条辺りに住んでいたとも答え、僧が脇見をした間に、女は夕顔の花のかげにすっと消えて いきました。

夏の夕刻、果たして夢だったのか、現実だったのか……。僧には何とも不思議な時間でした。

僧は不審に思い、五条辺りに来てみます。

げにも昔のいまし所 さながら宿りも夕顔の 瓢箪しばしば空し 草顔淵が巷に滋し

昔のままの荒れ果てた場所。ふと見ると半蔀(上半分を外側へ吊り上げるようにして開ける戸)がひっそりとあり、夕顔の花が咲いています。

そこには在りし日の夕顔の君が立っています。

蔾蕭深く鎖せり 夕陽のざんせいあらたに 窓をうがって去る

その寂しい半蔀屋には蔾蕭(あかざという雑草)が深く茂って戸口を閉ざし、夕日の光が窓を通して差し込み、やがて消えていきます。

女はかつて詠んだ歌を口ずさみ、

山の端の 心も知らで行く月は 上の空にて絶えし跡の…

山(源氏)の心も知らないで連れ添った私(月)はもう命が絶えてしまったが、またいつか逢う事ができるのでしょうかと僧に問います。もう亡き身となった今でもなおあの人を想い、僧に弔ってもらえるよう約束し、半蔀を開け姿を見せます。

そして昔光源氏との出会いを思い出し語る夕顔。特に忘れられないのは、源氏がここへお越しになられた夕方、惟光を招きよせあの花折れと仰ったので、白い扇に香を焚きしめてこの花を折って差し上げた事。夕顔は昔を懐かしみ舞を舞います。

終の宿りは知らせ申しつ 常には弔ひおはしませと

ここが私の最期の住処でした。これからも弔い続けて下さいと僧に願う夕顔。

その内に鶏の鳴く声がし、鐘も鳴りはじめて夜明けがきました。明けない前にお暇をと、また半蔀の中に入り姿は消えていき、そして…僧の夢は覚めるのでした。

夕顔の花は文字通り夕方に咲き、朝までは続かずしぼんでしまいます。

夕顔の君も実に短い恋を僅かなひと時、精一杯楽しんだのでしょうか。そして、亡くなった今でも、体は風化してもその想いだけを胸に抱いて、どこかにそっと咲いているのでしょう。五条の白い花のように。

立花供養しているはずの僧の前には花はなく、白い花を持って登場するはずの女が実際には花を持たずに舞台に出る。雲林院から五条に移動したはずの僧はちっとも動かず、官能的ともいえる源氏との逢瀬の叙述は、「序ノ舞」という形式的な抽象的な舞でクライマックスを迎える。しかし、それを鑑賞する方には、ある時、その壮大な時空を超えた恋物語がさも目の前で起こっているかのような感覚に陥る。または可憐に咲く「白い花」が目の前に現れる。

非常にある意味で「演技しにくい」、また鑑賞する側も「分かりにくい」この曲に12月23日挑戦します。

「歳末助け合い協賛能」第2部
能《半蔀》シテ 林本 大(他にも能2番、狂言など)
日時:12月23日(水・祝)14:30〜
会場:大槻能楽堂(大阪市中央区。大阪市営地下鉄「谷町四丁目」10出口から徒歩6分)
料金:3,000円(当日3,500円、学生1,500円)
問い合わせ:林本大の会 hayashimoto@dainokai.com / 090-7345-0217

皆様是非お越しください。チケットお申し込みは大の会にて承ります。

能《東北》の写真ですが、《半蔀》もかなり似ています
※写真はイメージです

平成27年(2015年)11月3日(火・祝)

休日の朝に能に触れてみませんか?

大阪・山本能楽堂にて、今朝から始まります、「能活(のうかつ)」。

能にはたくさんのストーリーがあります。恋物語や、鬼退治など。今回は一日に一話テーマ曲を取り上げ、その物語に沿って話をしながら、能の演出方法や、舞台の仕組み、成り立ちなどについてより理解を深めてみようという企画です。

例えば《安達原》という物語では、それに登場する、山奥にひっそりと住む女のあばら家を表現する舞台装置について解説。《船弁慶》では、波が荒くなった様子を小鼓・大鼓の演奏で表現する場面がありますが、実際に小鼓・大鼓のお話しも。

講師は私・林本大と前田和子氏。1時間のさっぱりとしたワークショップです。山本能楽堂が今後色んな企画に取り組んで参りますが、この「能活」もその一つ。1回のみの参加でもお楽しみいただけます。

休日の朝を楽しく実りあるひとときに……皆様是非お待ちしています。

能活(のうかつ)

平成27年(2015年)9月23日(水・祝)

日本の伝統文化を一度に楽しみたい方必見のイベントがございます。しかも、なんと入場無料。

来る10月4日(日)12:30より、大阪の中央公会堂にて『初心者のための上方伝統芸能SHOW』が行われます。

能はもちろん狂言や文楽、落語に講談といった、大阪に伝わる伝統芸能の「面白い部分」のみを次々に上演するという催しです。

大阪市中央区にございます「山本能楽堂」による事業で、「平成27年度芸術文化魅力育成プロジェクト」として実施。

山本能楽堂は、今回の催しの他にも、中之島の中央公会堂を中心に様々なイベントを展開していきます。

一つ一つの演目をきちんと鑑賞すると時間がかかってしまいます。例えば能や文楽の会などに出かけるとそれだけで半日費やしてしまうことも。

時間たっぷり鑑賞する事はとても楽しいのですが、やはり初心者の方には不安があることだと思います。

この催しはそれぞれをダイジェスト版でお送りします。各演目のいい所だけを鑑賞していただくことで、「講談ってこんなに迫力があるんだ!」「落語って面白い!」等興味をもっていただくものです。

今回は桂南光さんをはじめ豪華なキャストを布陣。講談はNHK朝の連続ドラマの主役にまつわる《広岡浅子物語》、新作講談です。

落語も桂南光さんはもちろん、桂かい枝さんも登場。かい枝さんは司会も勤めて下さり、とても楽しく進行する事間違いなし。

また普段は文楽劇場でしか観ることのない文楽、関西を代表される若手・善竹隆平さんの狂言も。

そのような中、私は能《土蜘蛛》の主役を勤めさせていただきます!もっともダイジェスト版ですので今回は後半のみの上演です。

このような場で役をいただき、身の引き締まる思いです。しかもこの催しのトリをお任せいただきましたので、精一杯つとめさせていただく所存です。

12時30分開演(11時30分開場)、終了予定は15時頃です。お時間ご都合よければ是非お越しください。

『初心者のための上方伝統芸能SHOW』
日時:10月4日(日)12:30~15:00(開場11:30)
会場:大阪市中央公会堂(大阪市北区中之島)
料金:無料(ただし定員800名、先着予約順)
問い合わせ:林本大の会 hayashimoto@dainokai.com / 090-7345-0217

平成27年(2015年)8月13日(月)

私は能楽師という仕事をしてる以上、欠かせないのは勿論「着物」です。

まるでユニフォームであるかのように毎日着ますので、当たり前の存在である着物。

しかし、一般的に見れば和装をする事自体が少なくなっているようです。自分の国の衣装の事を知る事はとても大切な事。着物の生活を送っていたことで生まれた言葉や文化も沢山。私自身も普段素通りしてしまっている着物の不思議、面白さを、いつか勉強したいと考えておりました。

2年程前にふとしたことで知り合いました、大阪市内で呉服屋を営まれてらっしゃる、和多田泰久さん。年は少し下ですが、着物への情熱が厚く、ご自身もお着物姿でいつも過ごされてます。着物のワークショップなども積極的に企画され、いつもそのエネルギーに圧倒されています。

今回は「着物には興味あるけど難しそう……。」となかなか敷居を越えられない皆様の為にこの企画を相談したところ快く引き受けて下さいました。

皆さんほとんどの方が着物には興味あるはず。しかしそれを気軽に学ぶ所がない。そのような初心者の方の為の講座です。着付け教室ではありません。

「着物を使う」私が、「着物を提供する」和多田さんに、「そんな初心者な質問までするの!?」と、皆さんを代表して色んな事を聞いていきます。そもそも着物にはどんな種類があるのか、どのような場面でどのような着物を着ればいいのか、着物から生まれた言葉って沢山あるのか、着物を着ることで立ち振舞いがどうなるのか……。

会場は、大阪のど真ん中北浜に、大変歴史のあるレトロな「青山ビル」。

定員25名様です。また、青山ビル様のご厚意で2回お貸しいただけることになりましたので、10月17日18時〜と、11月22日13時30分〜の2回公演。内容は2回とも同じです。

私が長年構想していた事がようやく実現しました。お客様にしっかり伝わるよう精一杯つとめますので是非お越しください。何度も申しますが、着付け教室ではありません。どうぞ普段着にてお越しください。

遠くて近いキモノのお話

平成27年(2015年)7月27日(月)

去る7月11日は、私にとって大変思い出深い一日になりました。

まず、佐賀県唐津にある多久島舞台にて「唐KARAコンサート」を行いました。

この催しは、唐津に縁のある能楽師二人、私林本大(私は唐津で生まれました)と、多久島法子さんが企画運営を行い、「唐津から文化を発信する」ということで、「唐津から」→「からから」と名付けたコンサートです。

能の公演一色にならず、必ず他ジャンルのゲストをお招きしてトークを交えながら舞台も進めていくという内容です。これまでは唐津でご活躍のシンガーソンガーや書道家、二胡演奏者などの皆様にご出演いただきました。

今回のゲストは唐津にお店を構えていらっしゃる、「池田呉服店」の池田聡さん。一見大人しそうな方ですが、お話ししてみると面白く魅力的な方でした。

着物にまつわるお話を沢山伺いました。着物から生まれた言葉「袂を分かつ」「要領」などの意味にお客様も驚かれたり、振り袖と留め袖の違いなど初歩的な部分から、浴衣の着付けワンポイントアドバイスに至るまで。お客様におかれましても、着物がより近い存在になったのではないかと思います。

その他私と多久島が能の衣装の説明も行い、最後に衣装を身に付けて短い能を披露。池田さんは「着物を着ると物を拾ったりするときも袖に手を添えないといけない。このように面倒なイメージを持たれるかも知れませんが、そうすることで日本人は美しい所作を学んでいった」と仰っておられました。

さてその唐KARAコンサートが終われば多久島も含め出演者は着物姿のまま大急ぎで車に乗り込み、30分かけて呼子の西念寺へ。

「呼子100人×能楽師4人in西念寺」という、呼子地元の皆様が立ち上げられたイベントがございました。お寺の本堂で能公演を行い、謡の体験や能面解説なども含めた分かりやすい能のワークショップでした。佐賀や福岡で活躍中の能楽師4人、一人一人をピックアップし、それぞれが自分の希望曲を勤め、また何か1つワークショップの解説を担当。私は総合司会をつとめました。

「100人は必ず動員しよう」と大胆にも催しのタイトルにしてしまいましたが、チケットはそれ以上売れ、完売となりました。お客様も温かく見守って下さり、またスタッフの皆様も非常に頑張っていただき、大変いい状態で舞台を勤めさせていただきました。もうすでに第2弾も計画中。お越しいただきました皆様、また是非お越しください。

2つの大切な舞台を終え、出演者仲間達と久しぶりにお酒を深夜まで酌み交わしました。今回私と共に舞台を支えてくれたのは、私が内弟子時代、一緒に苦労を味わった仲間達。それぞれ独立をして、私以外は皆九州に帰ったので会う機会も少なくなりましたが、昔話や、これからの舞台のことなど話は尽きませんでした。ほとんど寝ずに始発の新幹線で私だけ大阪に帰りましたが、非常に心地よく過ごした1日でした。

能楽師の仲間や、唐津、呼子の舞台を支えてくださったスタッフの皆様、そして舞台を見に来てくださる皆様、その期待を裏切らぬよう、これからも精一杯つとめてまいります。

本当にありがとうございました。

唐KARAコンサート 呼子100人×能楽師4人in西念寺 呼子100人×能楽師4人in西念寺

平成27年(2015年)6月29日(月)

今年も清水谷高校に行ってきました!

毎年1年生の皆様に、芸術の時間を借りて能の授業を行ってます。今年で3年目になりますが、先日すべてのカリキュラムを終えました。

音楽の先生から依頼の授業なので、「音楽」の授業として教えようと思いましたが、なかなか。50分の限られた時間内で、しかも能を知らない皆さんに、一から説明するのはとても時間のかかること。1年目は時間配分が上手くいかず戸惑いましたが、最近は慣れたのか時間ギリギリにはおさまるようになりました。

学校の授業で生徒さんに能を伝える時、私は能を総合的に伝えながらも、学校や先生のご要望、生徒さんの雰囲気を見て、教科科目に沿って授業をするとうまくいくことが多いです。

言葉の面白さを中心に話せば「国語」、その歴史背景に触れれば「社会」、謡の節使いを説明して「音楽」、摺り足で体を動かせば「体育」、という風に。

伝える側が自己満足で自分の持っている知識や思いを一方的に伝えるのではなく、彼らが何に興味を持っているのかを素早く見つけて、その話題から筋道を作っていく。特に短時間の授業ならば尚更の事。教壇側がどんなに大切な話をしても、聞いてもらえなかったら意味のないことです。伝える側にも柔軟な姿勢が本当に大切なんだなと感じます。この事は私の師匠からも教わった事です。

学校の先生方には頭が下がります。大変なお仕事ですね。私も負けないように頑張ります!!(勿論舞台も頑張っていきます)

清水谷高校のみなさん、またお目にかかりましょう。

市岡高等学校鑑賞能

平成27年(2015年)6月22日(月)

6月17日、大阪・大槻能楽堂にて「市岡高校鑑賞能」がありました。3年生の皆様に狂言《萩大名》と能《羽衣》を観ていただきました。

私は解説を担当。能舞台の仕組みや能の歴史を説明しました。

では何故私が今回の鑑賞会の解説をすることになったのか?それは、私がこの市岡高校出身だからなのです。この会を指揮してらっしゃる能楽師、佐野和之氏のお取り計らいで後輩の前にてお話しをさせていただくことになりました。この鑑賞会も歴史が長いそうです。

20年前、3年生だった私は、勿論能の世界など知らず(能と歌舞伎の区別もつきませんでした)やはり大槻能楽堂で能を鑑賞しました。その時の感想はたった一つ。「能の衣装ってきれいやな」それだけ。その他は何も覚えていません。謡っているセリフはもちろん、楽器の事等も全く。

その私が今、あの時の舞台に立っています。

だから、この間3年生たちに私は最後にこのように申し上げました。

「眠たかったら寝てもいいです。でもどんなことでもいいです。鼓の音が大きいなとか、正座しんどそうやなとか、あの出演者男前やなとか。必ず何か一つ感想をお土産に持って帰ってください。それがもしかしたら今後の皆さんの将来、何かに役立つかもしれません。支えになるかもしれません」と。

かわいい後輩たち、どのように育っていくのか楽しみです。

市岡高等学校鑑賞能

平成27年(2015年)6月16日(火)

6月6日山本能楽堂にて大役を勤めさせていただきました。能《蝉丸》の蝉丸の役です。

能の曲のネーミングは少し不思議な所があります。《蝉丸》という曲名を聞くと、皆様は大抵「蝉丸が主役なのだな」と思われるかもしれません。『ドラえもん』はドラえもんが主役ですし、『クレヨンしんちゃん』はしんのすけが主役ですね。

しかし、能の曲、例えば《船弁慶》なら、主人公は弁慶ではなく静御前、《葵上》にいたっては「葵上」は舞台にはただ小袖が舞台に敷かれるだけで、葵上が病床に臥しているとの表現。本来《蝉丸》の蝉丸役は主役ではなくツレと呼ばれる助演になります。

しかし、以上の事を踏まえた上で大切な事が。それは今回は「替之型」と呼ばれる特殊演出だったのです。この演出になると、「両シテ」と言って、主役(シテ)の逆髪(蝉丸の姉宮)も、助演(ツレ)の蝉丸も、どちらも主役になるのです。またはシテとツレが入れ替わり蝉丸が主役になることも。つまり、私の勤める蝉丸の格が上がるのです。

盲目の役であること、しかも皇家の役であること、本当に大変な役でした。師匠はじめ先輩方にも色々ご指導いただき、何とか終えることができましたが、、、、後日出来上がったDVDを見て落ち込みました。

年を経る毎に様々な、ステップアップの曲が私を待っています。苦悩して一生を過ごす辛さと、同時にその壁を突き破っていく面白さ。本当に不思議な世界に入ったのだなと思います。

お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

能《蝉丸-替之型》ツレ(林本大)

平成27年(2015年)4月24日(金)

4月4日大阪・山本能楽堂にて「たにまち能」という催しがあり、私は能《善界(ぜがい)》のシテ(主役)を勤めさせていただきました。当日は天気予報では雨でしたが幸いにも空がずっと我慢してくれたのか、傘を使わない一日でした。

《善界》は中国の話。唐の時代、高慢な者をみんな天狗道に引きずり込む天狗の首領・善界坊が、今度は日本の仏教界を脅かし魔道に誘い込もうとしますが、比叡山の高僧の法力に打ち負かされるという内容です。

前半は山伏の格好で登場し、能面は使用しません。しかし、後半には天狗の姿になり、「大べしみ」という能面を使います。「べしむ」とは口を横一文字に閉じている様をいいます。天狗は上空を高速で飛んでいますので、口を閉じ歯を食いしばって、突風に耐えながら進んでいる様を表します。

能面一つ見てもその表情には意味があったり、先人の思いがあったりします。一曲を演じる時には勿論セリフや所作にどのような意味があるのか探りますが、使用する装束や小道具にも我々は思いを寄せないといけません。

勉強することはまだまだ沢山ある、そう感じました。

お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

能《善界》後シテ(林本大)

平成27年(2015年)4月16日(木)

またまたその翌日、今度は山口県に移動して3日間山口県内各地で公演を行いました。

まず山口初日(30日)、美祢市の公民館にて初心者向けの能のワークショップ。50名様程お越しくださり、学生さんも参加され楽しく終える事ができました。終了後光市に移動。

31日は光市光井の玉泉寺本堂をお借りして同じくワークショップ。大鼓の森山さんのご親戚の関係もあって光市では2回目の公演でした。このお寺の住職さんや奥様始めたくさんの方にお世話になりました。ご住職が本堂に「千手観音」の掛け軸をかけて下さいましたので、予定を急遽変更し、千手観音が登場する曲「田村」の仕舞を勤めました。そして偶然ですが私の身内も会場すぐ近くに住んでおり、光市との縁を感じました。また森山さんと必ず光市に戻ってきます!

4月1日は宇部にあります中山観音廣福寺で「聖観世音菩薩御開扉法要」があり、その催しの一環で能の舞台を勤めさせていただきました。西暦680年位でしたか?...とにかく開山も古く由緒あるお寺で、舞台も身が引き締まるようでした。

以上長期ロードを終え、疲れた体で新幹線に。その疲れた私を車中2人の先輩が慰めてくださり、元気になって「また頑張ろう」と大阪に戻りました。

つくづく感じますが、「舞台は一人ではできない」という事。今回のツアーも、沢山の方々に助けられて成り立つものです。皆様に感謝しながら、いつかは私が誰かを支える番に回るのだな、そこで一生懸命恩返しをしないといけない、強く思いました。皆様、ありがとうございました!

山口県光市でのワークショップの様子

平成27年(2015年)4月24日(金)

唐KARAコンサートの翌日は、私が指導しております佐賀県呼子の子ども教室の子ども達の発表会が呼子公民館にて行われました。

この教室は私が修行を終え独立させていただきました年に発足しましたので、もう7年続いています。最近は参加人数も随分減って寂しくなりましたが、公民館館長さんにお願いし、発表会だけはプロの能楽師にお越しいただききちんとさせていただいています。先日レクチャーをした名護屋小学校の生徒さんも観に来てくれたそうで、嬉しく思いました。

舞台に出る楽しさ、そして怖さ。今まで一生懸命お稽古したことがその日1日で緊張してしまいダメになってしまう子どももいます。人前に出るという事の大変さを子供の内に感じて、克服するためには結局「稽古」しかないのだと、私が指導するよりも彼らが自分で身をもって知る。これからもできるだけ続けていきたいと思っています。

開催にあたって御協力下さいました大声会の皆様、そして保護者の皆様、公民館館長はじめスタッフの方々、ありがとうございました!

呼子こども能楽教室 ご協力くださった大声会の皆様も一緒に

平成27年(2015年)4月14日(火)

3月28日、毎回満員御礼の「唐KARAコンサート」。佐賀県唐津にて多久島法子さんと定期的に行っております、トーク&ライブイベントです。能楽はもちろん、違うジャンルの方、特に佐賀や福岡でご活躍のゲストの方にご出演いただいております。

今回は中国の楽器二胡の奏者、西村美和さん。素敵な音が会場に響き、お客様も満足していただいたことと思います。(写真はトークの最中、西村さんに二胡のレクチャーを受けている多久島さん。私が写っている写真がありませんでした...。)

次回は7月11日(土)、唐津の呉服店池田屋さんにお越しいただき、着物や浴衣のあれこれ、そして能の衣装も詳しく解説します!

唐KARAコンサート 二胡の奏者・西村美和さんにレクチャーを受ける多久島法子さん

平成27年(2015年)3月21日(土)

私の叔母が名護屋小学校に勤めている縁もあり、機会を頂いて社会の授業として、3年生の皆さんに能のワークショップを行いました。

名護屋という場所は、昔、豊臣秀吉が名護屋城に能舞台を築いて能を鑑賞した場所。その頃から能が武士に広まっていった、能楽にとってはターニングポイントの地。その地元の子供達に能を教える事のできる喜び。張り切って授業を行いましたが…。

私より張り切っていたのはどうやら子ども達の方でした。本当に元気で、謡やすり足体験なども楽しそう。扇の使い方もクイズ形式で分かりやすく説明し、あっという間の45分でした。

「自分が住んでいる町にはこんなに素晴らしいものがあるよ!」と胸を張って言える、そんな子供達になってほしいと思います。地元を愛する気持ちが、この国を愛することにつながるといいですね。またみんなと会いたいなと思いました。

小学校の先生方はじめ、お世話になった皆様、ありがとうございました!

「eo光ニュースK」に出演させていただきました!

平成27年(2015年)2月26日(木)

先日大阪中央区の山本能楽堂にて「eo光ニュースK」という番組に出演のため、撮影がありました。

これは、山本能楽堂が日ごろ行っている活動、とくに「初心者の方の能楽体験講座」を取材していただきましたものです。能の舞台のお話や、能面、衣装を見学していただいたり、また謡うお稽古をしたり、すり足体験をしたり。私もよく講師を勤めさせていただいております。

この番組はその様子を取り上げていただいたもので、インタビューを受ける時カメラに向かうとどうしても挙動不審になってしまいますが、やさしいスタッフの皆様に囲まれて無事に終わりました。

eo光に加入されてる方はご覧いただけるそうです。3月13日17時からの放送で、何度か放送されるそうです。

「eo光ニュースK」に出演させていただきました!

平成27年(2015年)2月2日(月)

先日1月31日若手能公演が大阪・大槻能楽堂で行われました。私は仕舞《嵐山》を勤めましたが、もう一つ大役が。

それはイヤホンガイドの解説を担当したことです。歌舞伎や文楽などではすでに導入されてるのですが、能に使用されるようになったのはごく最近です。私は能《百万》の解説を行いましたが、なんと生放送! 実際の演技を見ながら、舞台の進行に沿って、お客様のお顔の見えない所でお話しをさせていただきました。

前日は緊張で朝方まで原稿を確認(原稿も自分で作成しました)。演技の邪魔にならないようにと気を遣いました。

聞いていただいた方、いかがでしたか?

若手能大阪公演でイヤホンガイドを担当!

平成27年(2015年)1月28日(水)

来る3月29日、私が指導しています佐賀県・呼子こども能教室の発表会が行われます。写真はそれに向けての稽古の様子。

子どもたちは楽しく稽古しながらも、当日はやはり緊張して、日ごろの成果がなかなか出せない子もいます。舞台に出る、人前に出ることの怖さをこのようにして学ぶのでしょうか。

佐賀県・呼子こども能教室稽古風景

平成26年(2014年)11月28日(金)

今回は、偶然ですがお寺での公演が多数ありました。

10月31日、大阪市旭区浄願寺にて「DO YOU 能?」。能を観るのが初めての方にも楽しんで頂けるコンサートを行いました。トークも交えながら面白く、楽しい公演に。終了後もお客様との懇親もあり、私自身楽しめました。

また11月23日、佐賀県多久市の由緒あるお寺、専称寺で「TERRA DE ART」。こちらは書道家や陶芸家、ギタリスト、画家、詩人など様々なアーティストの方と共演しました。私はトップバッターで、能の簡単な解説と仕舞《船弁慶》を演じました。皆様しっかりと御覧になって下さり、中にはお子さんもいらっしゃって、温かい観客の皆様に囲まれて舞台をつとめました。その後もアーティストやお客様と楽しくお話をさせていただきました。

大阪市旭区浄願寺にて「DO YOU 能?」 佐賀県多久市専称寺「TERRA DE ART」 仕舞《船弁慶》林本大

平成26年(2014年)10月28日(火)

10月10日大分・平和市民公園能楽堂にて「大分大学活き活きプロジェクト」の観月祭で大分大学の学生さんなど280名様と平和市民公園の大きな庭園で《羽衣》の謡を一緒に謡いました。とても元気のある学生さんばかりで、私も長旅で疲れましたが、元気をいただきました。ただ、翌日は朝5時台の電車に乗り大阪へ帰りました(写真は学生の代表として一緒に舞台上で謡った皆さん)。

翌11日は大阪・本町セントレジスホテルにて「船場ストリート能」、能《土蜘蛛》シテ(主役)をつとめました。背景にアーティストの方に書いていただいた大きな松の絵。お客様も200名様程お越しくださいました(その時の様子は数日後産経新聞朝刊に掲載)。

そして…その汗を拭う暇もなく、同じく大阪・本町にある北御堂にて、LEDライトアップによる半能「石橋」の赤獅子を演じました。能面をかけているため私には舞台が見えにくく、難儀しましたが、終わった後写真を見ると、何と立派な場所で舞わせていただいたのかと驚きました。

「大分大学活き活きプロジェクト」学生さんの代表の方たちと 本町セントレジスホテル「船場ストリート能」能《土蜘蛛》シテ・林本大
北御堂 LEDライトアップによる半能《石橋》赤獅子・林本大