石橋 しゃっきょう

平成21年1月31日 林本大独立披露能 於・山本能楽堂

石橋しゃっきょう

げにも上なき獅子王の勢ひ、靡かぬ草木もなき時なれや
あらすじ

海を渡り、中国やインドの仏跡を巡る旅を続ける寂昭法師は、中国の清涼山で不思議な石橋の前に行きあう。すると、ひとりの樵の少年が現れ、この石橋について語る。幅は1尺(約30cm)にも満たないのに、長さは3丈(約10m)もあり、表面は苔むして滑りやすく、下の谷までの高さは千丈(3km以上)に及んで、目は眩み足も竦むばかり。しかも人間が渡した橋ではなく、自然と出現した橋であるという。というのも、この石橋は文殊菩薩の浄土へと続く橋だからである。そして、ここで待てば奇瑞を見るだろうと告げた後、姿を消す。

寂昭法師がしばらく待っていると、石橋の上に文殊菩薩の使いである伝説上の霊獣・獅子が現れ、咲き乱れた牡丹の花に戯れつつ、雄壮な獅子舞を舞って千秋万歳を祝うのだった。

まめ知識

能《石橋》で舞われる「獅子」は、ほかには《望月》でのみで演じられる豪壮華麗な舞で、同時に重い習いとなっています。

この《石橋》は観世流三世・音阿弥も演じた古い曲ですが、上演が一度絶えてしまいました。江戸時代に入ってから復活された際にそれぞれの流儀ごとに様々な演出が工夫されたようです。

現在の観世流ではほとんどの場合、「大獅子」や「師資十二段之式」などの紅白の複数の獅子が登場する形で演じられます。白獅子はどっしりと、赤獅子は敏捷にと、対照的に演じられ、親と子を表現すると言われます。

歌舞伎や日本舞踊の人気演目《連獅子》の原作にあたります。

文・朝原広基