猩々乱 しょうじょうみだれ

平成24年10月27日 山本眞義十三回忌追善能 於・大阪能楽会館

猩々乱しょうじょうみだれ

汲めども尽きず、飲めども変わらぬ、秋の夜の盃
あらすじ

昔、中国・潯陽に住む孝行者の高風という男が、夢のお告げに従って市場で酒を売ると、大金持ちになった。そこに高風の酒を飲んでも顔色の変わらない不思議な客が来て、自分は海中に住む「猩々」という精霊であると告げて立ち去った。驚いた高風が川のほとりに酒壷を供えて夜すがら待っていると、猩々があらわれ、酒の徳をたたえ、高風と酒を酌み交わして、酔っては舞い、高風にいくら飲んでもなくならない酒壺を与え、再び海中に帰ってゆくのだった。

まめ知識

猩々とは一説にはオランウータンのことだともされますが、能では赤い顔をして酒を好むとされる中国の伝説上の動物のことです。過去には寿福老の代わりに七福神に加えられていた時代もあり、めでたい存在とされています。赤い頭に赤地の唐織を着て、緋色の大口袴を履き、さらに赤い彩色の「猩々」という名前の専用の能面をかけて舞うため、足袋以外は全て赤い出で立ちとなっています。

通常のこの曲の名前は《猩々》ですが、舞が「乱」と呼ばれる緩急のリズム変化が大きな特殊なものに変更される時、曲名も《猩々乱》もしくは単に《乱》と表記します。演技自体も大きく変化し、抜キ足・蹴リ足・流レ足と、水上を戯れ遊んでいる様子を表す足遣いが特徴です。装束も緋色の大口袴から赤地の半切へと変化します。

文・朝原広基