このメンバーで!

また、この舞台がやってきました。
能と現代演劇が一つになる。今回第3弾となります「能×現代演劇 WORK #3」。

能に「舎利(しゃり)」という物語がありますが、その話を題材に作り上げる、その名も「韋駄天」。

「舎利」とは、仏の歯の事。釈迦の死後、彼を慕う人たちがその骨を取り合い、聞くところによると何百万にも分骨されたとか。そのような事実がこの物語を生んだのでしょうか……。

京都の泉湧寺にも仏骨が収められています。ある僧が一目舎利を拝みたいとやってきます。同じくその場に現れた一人の男。彼も舎利を目の前に、この尊さを語ります。しかし、ふと見るとその男の様子がおかしい。男は「許し給えやお僧達」と周りの人達の目を眩めて、その紛れに舎利を奪い、天井を蹴破り去っていく……。

と、能はここで前半終了。後半は舎利を奪い取った鬼が、宇宙空間を逃げている所に、背後から突風の如く駆けてくる神、韋駄天。二人の壮絶な舎利争奪戦が始まります。

今回は「舎利」の物語を、能と現代演劇で表現します。毎回タッグを組んでいる脚本家、林慎一郎氏が先日、その本を書き上げました。今度の出演者と顔合わせ、そして皆が初めて手にする脚本。おそらく自分がどの役をするのか分からないまま本読み。私もその本読みを傍で聞かせていただきましたが……おもしろい!

話のネタばらしをしてはいけないので内容は触れませんが、この写真のむさくるしい……いや失礼、男くさい……いやいやこれもすみません、とにかく男達が作り出す世界に期待大!

これまでは、男女混合のチームでした。第1回目「紡ぎ歌」では前半を演劇、後半を能で。2回目「心は清経」は演劇中心で、能の演技がそれを装飾。

今回3回目「韋駄天」は、どのような構成になるのか、皆さん楽しみにしていてください。

700年も昔から続く能の物語、古臭い、埃がかぶっているようなイメージに捉えられる事が多いのですが、「能は現代にも続く普遍的なドラマ」です。

林氏が、能のドラマを自在に表現していく。そのことがまた逆に、能が色あせたものではないことへの確認につながる。

いつもの能公演とは違いますが、この舞台をご覧いただいて、さらに能への興味を深めていただけるものと思います。

「能×現代演劇 WORK♯3 韋駄天」
日時:平成29年8月20日(日)17:00開演(16:30開場)
会場:山本能楽堂(大阪市中央区徳井町)
料金:一般前売3,000円 一般当日4,000円

主な出演者 
能「舎利」シテ林本 大 他
現代演劇 
小笠原 聡・加藤智之(DanieLonely)・小坂浩之・上瀧昇一郎(空晴)・村山裕希(dracom)

お問合せ・お申込みは「大の会」ホームページチケット申込フォームよりお申込下さい。

数年に一度の写真?!

いつも「大の会」ホームページご覧くださいましてありがとうございます。

能の世界、能楽師は「分業」。能の役者は、それぞれシテ方(主役、ツレやトモの役、地謡、後見)、ワキ方(いわゆる脇役)、囃子方(笛、小鼓、大鼓、太鼓)、狂言方という4つのパートに分かれます。

私はシテ方です。私がワキ方に移行したり、囃子方を勤めたりすることはありません。小鼓を演奏する演者はずっと、一生小鼓を打ち続けていくのです。

「焼き鳥屋」「たこ焼き屋」「寿司屋」のように、日本は一つの分野を集中して、一生かけて、取り組んでいく精神性を持っているように思います。一つの事のみを必死に作業して、その分野のレベルアップをはかっていく。能の世界も、自分が与えられた事のみを生涯かけて稽古修練し、舞台ではそうしてきた皆がぶつかり合う。そうしてよりよい舞台が生み出されていくのです。

勿論、修行時代に他の分野の事は必ず勉強します。私も囃子は全てお稽古させていただきました。その上で、そのお稽古した事を踏まえて、自分の「シテ方」という役を勤める糧にするのです。

……と、偉そうな事を書きながら、実は数年に一度位、「乱能(らんのう)」という、自分の担当分野を全て入れ替えて舞台を勤める、お祭りのような催しがあります。例えば普段楽器を演奏する人が狂言をしたり、ワキ方が楽器を演奏したり。

さる6月11日、「山本能楽堂90周年記念能」というおめでたい催しの終了後のお客様も交えた懇親会にて、この乱能(実際には舞囃子のみでしたが)の舞台に参加させていただきました!担当したのは一番苦手な「笛」。

「笛」は修行時代に習いたての時に、笛の講師の先生から、「君の笛は聞いてるとしんどくなるから、次の稽古からは笛持ってこなくていい」と言われた程。

今回久しぶりに笛を吹くに当たり、同期の笛方斉藤敦氏にお願いし、数度お稽古伺いました。

……結果は悲惨な有様でした。音は鳴らない、譜を間違えてしまう。お祭りという事で皆さんには大目に見ていただいたようです。

しかしながら、いつもとは違う場所に座る事で、いつもの私の位置が見えてくる。「ワキの演者はこんな思いで謡ってるのか」「囃子方は私たちのこのような謡をこんな気持ちで演奏しているのか」など。

たまに違う場所に座って、まわりの事をよく知り、そしてまたいつもの場所に戻る。本当に能の世界は不思議で、日本的で、魅力的だと思います。

お越しくださいました皆様、ありがとうございました。

能×現代演劇「心は清経」

現代演劇と、能を組み合わせて一つの舞台を作る「能×現代演劇 心は清経」が、来る2月5日(日)、6日(月)連続公演が行われます。このシリーズは今回2作目。前回好評につき、第2弾の上演です。

(※ちなみに5日は私の40歳の誕生日です!)

前回は能《安達原》をテーマに、半分が現代演劇、半分が能というイメージで作成しましたが、今回は能の中でも名曲、《清経》を取り上げます。

清経は平家の武将で、源氏に追い込まれ西の方へ逃亡していく最中、絶望に打ちひしがれ船から投身自殺をしてしまいます。「平家にあらずんば人にあらず」栄華を極めた平家がやがて追い込まれ、ついには松に留まった白鷺の群れを見ただけで「源氏の旗」と勘違いし、泣き叫び逃げ惑う。気持ちがどんどん闇の中に入っていく。そんな中での自殺だったのです。

さて能の《清経》は、そのあとから始まります。家で夫の帰りを待つ妻の元に、清経の家来の粟津三郎が訪ねます。「面目もなき使い」に来たという三郎は、清経の妻に清経の遺品である黒髪を形見に預かったと渡します。

夫の死に驚く妻。「恨めしやせめては討たれ もしは又 病の床の露とも消えなば 力なしとも思うべきに」戦死や病死なら仕方ないが、まさか自殺とは……。夫の死を受け入れられない妻は、形見を受け取らないといい、突き返して涙にくれます。枕を濡らしながら眠ってしまった妻の夢の中に、なんと清経の霊が現れ……。

死を選ばざるを得なかった男の言い分、独りこの世に残された女の言い分……。今回はその二つの言い分を、二人の劇作家が作り出します。

この能を現代に置き換える挑戦です。前回も一緒に舞台を作ってくださった林慎一郎さん、そして今回は出演もされる岡部尚子さん。1月半ばから打合せや稽古を行っていきます。

現代演劇の「清経」に、能の《清経》の所作や謡や笛がどのように溶け込んでいくのか。笛は同期でいつも共に舞台と勤めている斉藤敦氏に依頼しました。

能は今回は演劇の補助的な役割になりそうですが、稽古していくなかで、たくさんアイデアが出れば、遠慮なくぶつけていきたいと考えています。

何が楽しいかと言いますと、能は現代にも置き換えることが出来るんだという発見です。

写真は劇作家、林氏と。同い年です。皆様、是非お越しください。

能×現代演劇work#002「心は清経」
日時:2月5日(日)13:00~、2月6日(月)19:00~
会場:山本能楽堂(地下鉄谷町四丁目駅4番出口徒歩4分)
入場料:一般前売券2,500円 一般当日券3,000円

チケット申し込みフォームよりお申し込みください。

盗みも命のありてこそ

鬼の様ないかつい能面、「長霊べし見」。「べしむ」とは、口を閉じ歯を食いしばる事。長霊という能面作者が作ったのでこの名前がついています。あの上杉謙信が戦場に出る時にはこの能面を使用したとか。目に金をはめ口を閉じる事で強い表情を表します。この男こそ、伝説上の人物と言われる、大盗賊集団の頭領、熊坂長範(くまさかちょうはん)。

しかし、どことなくユーモラスと言いますか、何かに対して目をひんむいて驚いているような顔です。何に対して驚いているのか?
能《熊坂》は、大盗賊熊坂が、霊となって現れ後世の弔いを願う様子を描いた、観ていて飽きない曲です。その曲の流れを少しお話しします。

①僧と、僧
旅をしている僧(ワキ)が、美濃国を通る。夕暮れ時、辺りが薄暗くなっていく頃、一人の僧(シテ)が声を掛ける。同じ格好をした者が二人・・・能の中でも非常に珍しいシーン。どことなく異様な空気が漂う。
その僧は、旅僧に対し、

シテ「今日はさる者の命日にて候弔ひて賜り候へ」

名前は明かさないが、ある者の命日だから弔って欲しいと言う。旅僧は勿論の事と引き受けるが、誰を弔うのかと尋ねる。しかし僧は、名を明かさない。

地「回向は草木国土まで洩らさじなれば別きてその 主にと心あてなくとも さてこそ回向なれ」

仏法は草木国土に至るまで分け隔てなく救いを与えるのであるから、その主を思わなくても、回向を受けて喜ぶ者がいたならば、それこそが主である、お経をあげてほしいと重ねて頼む。

②旅の僧を自分の庵に案内する その庵の中には・・・
その怪しい僧は、自分の庵に案内する。そこで不思議な光景を目にします。僧の庵なのに、仏像は一つもなく、その代わり長刀など武器が壁一面にひっしと並んでいます。(もちろん舞台には、庵の作り物どころか、その武器すら登場しません。皆様の頭の中で庵の中の雰囲気を感じてください。)
すると、僧は語りだします。

「この僧は未だ初発心の者にて候が ご覧候如くこの辺りは 垂井青墓赤坂とて その里々は多けれども 間々の道すがら 青野が原の草高く 青墓子安の森茂れば 昼とも言わず雨の中には 山賊夜盗の盗人等 高荷を落とし里通いの 下女やハシタの者までも
うち剥ぎ取られ泣き叫ぶ さやうの時はこの僧も 例の長刀ひっさげつつ 此処をば愚僧に任せよと 呼ばわりかくればげには又・・・」

自分がまだ出家したばかりである事、この辺りは山賊などが多く出るので、人が襲われ悲鳴が聞こえたら自分も武器を持って駆けつけるのだという事・・・。
そして、「仏も煩悩を切り捨てる阿弥陀如来の称名を利剣に例え、愛染明王は弓に矢をつがえるように、仏も時には武器を持って悪魔を降伏させる。私も僧でありながら武器で盗賊に立ち向かう事は人を助けるための方便である」と物語ります。※これはシテではなく、地謡が代弁。シテは舞台中央に座ったままです。

③シテ僧が姿を消すと・・・
やがて時も過ぎ、夜も深まっていく。僧は旅僧に向かい、ここで泊まりなさい。私も寝所で休みますと姿を消す。するとどうしたことか、さっきまであったはずの庵室もすっと消えて、旅僧はなんと草むらで一晩を明かしていたのであった。

④所の者が登場
そこへ、この地に住む者(間狂言)が通りかかる。旅僧は此の者に、昔この場所で悪事を働いたような人がいたか尋ねる。男は熊坂長範の事を話す。盗賊の大集団の大将だったが、都の商人三条吉次一行を襲撃した際、その中にいた牛若丸によって返り討ちに遭い命を落としたと。
先程の僧は熊坂の霊に違いないと確信した旅僧は、この地で弔いを始める。

⑤熊坂長範の霊が現れる

「東南に風立って西北に雲静かならず 夕闇の夜風激しき山陰に こずえ木の間や騒ぐらん」

夜風が激しく吹き、木々がざわざわと揺れる―――※ここでも視覚的な助けは何もありません。謡だけでこの夜の空気を感じてください。
鎧を身にまとい、長刀を持った熊坂の霊が僧の前に現れる。
熊坂は自分を弔ってくれる僧に対し、最期の有様を物語る。

⑥最期の有様を物語る
熊坂は床几に腰かけ(馬上で手下に指揮をとる態を表現)、物語る。

「さても三条吉次信高とて 黄金を商ふ商人あって 毎年数駄の宝を集めて 高荷を作って奥へ下る
あっぱれこれを取らばやと 与力の人数は誰々ぞ」

国々から集まった屈強の強者達。河内の覚紹、磨針太郎兄弟、三条の衛門、壬生の小猿、麻生の松若、三国の九郎・・・70人程の手練れが集まっている。※舞台には熊坂しか登場しません!
吉次一行が通る道を見張っており、彼らが赤坂の宿に泊まる事を知る。

商人吉次一行は、宴会に疲れてか、夜更け静かに眠っている。しかし、その中に眼光鋭い小男が、外で物音がするのを障子の隙間からじっと窺っている。

盗賊達は、その小男にも気付かず、皆我先にと松明を投げ込み投げ込み物凄い勢いで乱れ入る。
そこに先程の小男、そう、牛若丸が少しも恐れる気色なく、小太刀を抜いて渡り合う。

「獅子奮迅虎乱入 飛鳥の翔りの手を砕き 攻め戦えばこらえず 表に進む十三人 同じ枕に切り伏せられ
そのほか手負い太刀を捨て 具足を奪われ這ふ這ふ逃げて 命ばかりを逃るもあり」

熊坂はこの騒動に驚き、奴はいかさま鬼神か、人間にてはよもあらじと身を震わせる。盗みも、命あっての物種、退却しようと一度は考えるが、いや俺の秘術を使えばどのような者でもかなうまいと、討たれた同志の為にもと引き返す。
しかし牛若の強さ、身軽さは尋常ではない。熊坂の長刀を右や左とかわし、挙句は刃の上に飛び乗り、一瞬姿を失ったかと思えば鎧の隙間に斬り込まれる。

長刀ではこいつにはかなわない、熊坂は長刀を投げ捨て、手捕りにしようと組みかかる。しかし陽炎や稲光をとらえられないように、水に映る月の様に、姿を捕まえる事ができず、次第次第に弱り、負った傷も深まり、この松の下で力尽き命を落とす・・・。

「この松が根の 苔の露霜と 消えし昔の物語 末の世たすけ賜びたまえ」

どうか後世を助けて下さい。弔って下さいと言い、夜がしらしらと明けるにつれ熊坂の霊は赤坂の松蔭に消えていった。

……庵は登場しない、消え行く庵室のシーンで場面展開もない。朧月夜の風が吹きすさぶ夜は謡のみで表現し、70人もの盗賊集団も熊坂一人だけ。そして、大胆なことに、もう一人の主役、牛若丸なんてどこにも現れない。能らしい、余分を大幅に削る事で表現している曲です。お客様には不親切ですが、その分皆様の頭の中で、どのような庵なのか、どんな夜なのか、想像してください。

この曲の醍醐味は、長刀さばきです。曲のクライマックスでは、熊坂が長刀を奮い、所せましと動き回ります。
お客様はその熊坂の動きの向こうに、俊敏に飛び回る牛若丸を描いてください。

「討たれた時の熊坂の年齢は63歳だった。この曲を若い人が演じるのは非常に難しいんだよ」とある先輩が仰ったことがあります。
実は私はこの曲をもっと早くに勤める予定でしたが、事情あって演じないままでいました。63歳だからといって老いぼれて演じていては、牛若丸が見えてこない。かと言って軽い動きでは盗賊の頭領たる貫禄が出ない。

そしてまた、やはりみんなのヒーロー、牛若丸を登場させずにスポットを当てた点にも注目しなければなりません。
熊坂長範は、弱い者は襲わず、金持ちや身分の高い者しか盗みをしなかったとも言われています。その彼にヒーロー性を感じる方もいらっしゃるかもしれません。盗みという悪に立ち向かう牛若丸に期待を膨らませて鑑賞されるのも面白いと思います。皆様は、熊坂派、牛若派、どちらでしょうか……?

《道成寺》を終えた後、初めてのシテです。皆様是非お越しください。お申し込みは「大の会」チケット申し込みフォームよりお願いします。

「たにまち能」
日時:2017年1月7日(土)13時開演 ※「熊坂」は15時頃の予定です。
終了予定16時30分頃
於:山本能楽堂(大阪市中央区谷町)最寄り駅地下鉄 谷町4丁目駅④出口徒歩5分
入場券:一般券5,500円
内容:能《東北》今村一夫 狂言《附子》善竹隆司 能《熊坂》林本大 他仕舞

完売御礼!

かねてより皆様にご案内させていただいておりました、10月30日(日)山本眞義追善能は、おかげさまをもちましてチケットすべて完売致しました。沢山の方々にお声を掛けてくださり、ご支援いただきました。心より御礼申し上げます。

皆様のご期待にお応えできますよう、精一杯「道成寺」勤めさせていただきます。

また今回の公演に際し、ラジオや新聞など、各メディアに取り上げていただきました。その中から、10月5日大阪日日新聞様に記事を掲載して下さいましたものをご紹介します。

記者会見では師匠・山本章弘師と共に同席させていただきました。複数社お越し下さいまして緊張した中進行しましたが、途中章弘師が学生当時の私の様子などを話して下さいました。その中には本人の私が忘れているような話もありました。

能楽部の夏合宿で早起きし猫と遊んでいたこと、いつも自転車で能の会を観に来ていたこと、お金がないけど見に行きたい時は、わざと先生のおカバンお持ちして付き人のふりして楽屋に入った事……。

和やかな雰囲気に包まれて記者会見は終わりました。

あと2回「能活」!

「能活」について、少しお話しをさせていただきます。

昨年より始めさせていただきました、「休日の朝に能の勉強をしませんか?!」ということで、山本能楽堂で企画されました能のワークショップ。ありがたくも私が講師を担当させていただくことになり、先輩の前田和子さんと二人でずっと続けています。

「能活」という名前が面白い、新鮮だと皆様から好評で始まりましたが、どんな名前にするかは山本能楽堂のスタッフの方々とたくさん悩みました。

山本能楽堂は初心者の方向けのワークショップをたくさん行ってきました。「能活」は、その初心者の皆様を「中級者」に導けることができたら・・・そんな思いで毎回企画しています。(もちろん初心者のお客様も想定してお話しさせていただいております。)

一辺倒のワークショップにならないよう、実践も交えながら、シテのちょっとした所作や謡にも触れて毎回お話ししています。

例えば前回の「清経」という話では、自殺した平清経のお守りの受取りを拒否したはずの妻が、なぜかそのお守りを袖の中に入れる・・・。そういう不思議にも目を向けてお客様にお伝えします。

また、できるだけたくさんの資料を基にして、この曲のこの場面は、主役はどんな気持ちであるか、またそれがどのような舞台演出となってそれが演じられるのか……あらゆる側面から捉えるように努めます。どのようにしてお能を見ればいいのか、何を楽しめばいいのか、そのヒントになればと考えます。

もちろん、講師である私達は、不勉強だと務まりません。事前にしっかり勉強して当日に臨みます。

しかし、「能活」を始めて最近思うことがあります。私たちも勉強して新たに知ることもあるのですが、それよりもお客様の方がどんどんレベルアップされてらっしゃるように感じるのです。

初めの頃は、「これは説明しても難しいかな」と感じることが、今は「この難しい事を伝えてみよう」と思うようになった事。今は毎回40名様程お越しいただくのですが、そのおよそ半数が常連のお客様。回を重ねる毎に、私たちもお客様も能に対する理解が深まっていくのが手に取るように分かります。

お客様と共に歩んでいる、本当にそんな気が致します。次回の能活も皆様とお目にかかれることが楽しみです。
今クールもあと残すところ2回となりました。皆様是非お越しください。1回のみのご参加も可能です。

能活 今後の予定
10月2日(日)10:30~11:30 第7回「菊慈童の巻」秋を楽しむ~能楽堂で観菊会~
10月23日(日)10:30~11:30 第8回「鉄輪の巻」女が鬼になる時~小道具の力~
会場:山本能楽堂
参加費:1,000円
お申込み:山本能楽堂 06-6943-9454
又は「大の会」ホームページチケット申し込みフォームよりお申し込みください。

能×現代演劇「紡ぎ歌~鬼こもれりと聞くはまことか~」

来る7月18日(月・祝)に、大阪・山本能楽堂におきまして、新しい試みが行われます。

能の曲に、「安達原(黒塚)」という名曲があります。能のみならず歌舞伎など他の芸能にも影響を与えています。鬼女として生まれた悲しみ、今まで犯してきた罪を悔いて山伏にその思いを告げるのだが・・・その物語の真意は。

今回は、関西を代表する劇作家、林慎一郎氏と共に、この曲を作り上げます。つまり、現代演劇と能で「安達原」の世界を表現します。

能「安達原」前半、秋のしみじみした風情の中、糸繰りの仕事をしながら我が身を嘆く場面を現代劇で、山伏に裏切られた女のこみ上げる怒りを能で演じます。

林氏と私は同い年でした。何度も面会をし打合せを重ねて本番に挑戦します。今回は能の形、表現を変えるというよりも、林さんが能の意図を理解してくださり、現代劇がこちらに歩み寄って下さる演出になりそうです。

能×現代演劇「紡ぎ歌~鬼こもれりと聞くはまことか~」

日 時:7月18日(月・祝)14時開演(13時30分開場)

於 :山本能楽堂(大阪市中央区徳井町1-3-6)

入場料:一般前売券3,000円(当日券4,000円)

問合先・申込先:山本能楽堂 06-6943-9454

主な出演者:≪現代劇≫石川郁子・後藤七重・中道裕子・向田倫子・峯素子

≪能≫林本 大・原  大・善竹忠亮 他

このホームページからもお申込み下さい。

 

「葵上」つとめさせていただきました!

6月4日、大阪・山本能楽堂にて能「葵上」シテ(主役)勤めさせていただきましたので、ご報告申し上げます。

この曲は源氏物語を題材にし、六条御息所というと高貴な女性の嫉妬を描いた物語。この曲に取り組むにあたり、文章をしっかり読み、勉強してから稽古をし、何度も反復しましたが、当日の舞台は反省も多々ございました。

前半は謡中心で進行していきますが、その謡で女性の躁鬱の様なものを表現しなければなりません。節付けを見ますと、なるほど「なぜこのような節になっているのか」が分かります。気持ちが昂るときには節も高揚し、沈む心の表現には「クドキ」といわれる節付けで、低く謡われます。大先輩のお言葉を拝借しますと、節付けを理解せずに勤めることは、「この曲の作者に失礼」であるということ。

そして後半は、「般若」と呼ばれる「鬼女」の能面を使用します。角が生え、髪の毛も乱れ、牙をむき、いかにも怒りが爆発した表情ですが、目元の辺りが悲しみの一面を持っています。ただ怒りにまかせて舞うというわけにもいきません。

「葵上」におきましては身分の高い女性ですから、「般若」を着用していても、「品よく舞う」事が肝要です。ちなみに、同じく般若を使用する「安達原」は「強く舞う」、大曲「道成寺」は「〇〇く舞う」(※やはり秘曲ですので、一応伏せさせていただきます)、という様に教わっています。

今回も大変勉強させていただきました。そして、また改めましてご案内申し上げますが、私が10月に秘曲中の秘曲であります「道成寺」を勤めさせていただくことになりました。この曲に挑戦するためのステップアップの曲としましても、非常に良い経験をさせていただきました。

お越しくださいました皆様、ありがとうございました。

能活 第2弾

能を全くご存じでない方、少し興味のある方、さらに奥深く知りたい方……。いろんな方に、休日の朝に学べる能のワークショップ、「能活」のご案内です。

能には200曲程の色んな曲がございます。その中から1日1曲を取り上げ、その世界に触れながら、能のエッセンスを感じていただきます。1時間ほどのワークショップで、当日参加も可能です。

“能活 第2弾” の続きを読む

6月4日(土)たにまち能で能《葵上》

長らく更新せず申し訳ございませんでした。

今回は、来る6月4日(土)大阪の山本能楽堂にて行われます「たにまち能」にて、能の人気曲の一つ、「葵上」を演じさせていただくことになりましたので、ご案内申し上げます。

“6月4日(土)たにまち能で能《葵上》” の続きを読む

休日の朝に能に触れてみませんか?能活(のうかつ)

休日の朝に能に触れてみませんか?

大阪・山本能楽堂にて、今朝から始まります、「能活(のうかつ)」。

能にはたくさんのストーリーがあります。恋物語や、鬼退治など。今回は一日に一話テーマ曲を取り上げ、その物語に沿って話をしながら、能の演出方法や、舞台の仕組み、成り立ちなどについてより理解を深めてみようという企画です。

“休日の朝に能に触れてみませんか?能活(のうかつ)” の続きを読む